file.223 ページ36
Aと黒の様な、
人格の切り替えには、誰にも負ける気がしない。
｢……あ。雪だよ〜、A｣
言わなくても分かる。
｢……綺麗ですね｣
空を見上げると、
日の入りが早い冬の真っ暗な空から、ゆっくりと雪が降ってくる。
あの日も、
両親が死んで、警察の人が来た日も。
雪が降ってたな。
綺麗なんて言ったけど、雪は……好きじゃない。
……良い思い出なんて無い。
────────
｢ふぅ……着いた〜｣
坂道やら石階段を登りまくったところにある丘。
…もう足がガクガクだ。
2人、無言で夜景を見る。
そして、暫くして米津さんが沈黙を破った。
｢……A、
僕話したいことあるって言ったでしょ?｣
｢…言いましたね｣
一体何なのか、答えが全然分からなかった。
｢………卒業したらね、
僕、本名で活動しようと思うんだ｣
｢……!!｣
その言葉に驚きを隠せず、米津さんを見る。
｢あ、吃驚した?
まあそうだよね、メディアに出なかったし…。
でも、もう…決まったって言って良いぐらい、
自分の中じゃ、そう思ってるんだ｣
｢……そうですか｣
そうなのか…もう、決めなきゃ駄目なんだよな。
将来のこと。
……何で、最近、
こんなに未来の事を考えるのが嫌なんだろう。
まるで、時間が進んで欲しくないみたいだ。
｢あとね、もう1つあるんだ。
Aに聞いてほしいこと…
いや、言いたいこと｣
｢………?｣
言葉の真意が分からず、疑問で頭を埋め尽くす。
ふと、雪が強くなった気がした。
｢……Aの過去…
…ずっと前に、先生から聞いたんだ｣
……ほら。
雪には、
良い思い出なんて…無いだろう?
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔月α x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/082301153/
作成日時：2018年9月11日 20時
