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プロローグ ページ1

見慣れた景色がそこにある。トントンともう既に赤く錆びてしまった脆い階段を登る。手すりに触れると、その錆が左手にくっついて鼻を刺すような匂いがする。

屋上に着くと私を待っている彼等の姿があった。背の高いすらっとした彼が他の者より一足先にこちらを向く。

「待ってたぜ。誰にするか、決めたか?」

彼はそう呟いた。

時間が止まっているかのように、無音の状態が続く。

『当たり前。もうとっくに想いは決まってるわ。』

気味の悪い笑みを浮かべた彼等は、早く自分を選んで欲しいというような顔で私の返事を今か今かを待つ。そんな彼らを差し置いて、私は一目散に自さつ防止のフェンスに登る

彼らはギョッと目を見開いて私の元に駆け寄ろうとする。

『動かないで。』

そう一言だけ。私は言った。

『動いたら、落ちるよ。』

彼等は私の予想外の行動に焦っている。

でも、これが私の決めた事なのだ。





あぁ、もう一度、あの頃に戻りたい。

みんなが楽しく笑顔で過ごしていたあの頃に。

半透明の涙が私の頬を伝う。



刹那、私の身体は宙を舞った。

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作者名:モチゴメ | 作成日時:2021年2月21日 18時

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