ヤドリギの華【キヨ。】 (ページ37)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:14,843 hit

chapter4 ページ37

彼が放ったその時だけ頭の中にノイズがかかる。

なんど聞き返してもやっぱり彼の住む世界が何年なのか、理解することは出来なかった。

『キヨはいつからここに居るの？』

｢もう数えてねえな。｣

｢ずっとずっと、ここに居た。一人で。｣

彼はもう1人の私をずっと探していたのだろうか。
ずっとただひとりで。

彼の辛さは計り知れないだろう。

今も私の胸はズキズキと傷んでいる。

｢暗い話はやめようぜ。｣

｢Aの住む世界はどんなんなの？｣

そう言って、彼はニコッと笑いこっちを見る。

━━━━━━━━━━ † ━━━━━━━━━
そうこうしているうちに、私の視界が突然白く染まる。

『ど、どうなってんの…！？』

｢…Aっ！｣

彼が私の名前を呼んだ瞬間、私の周りを閃光が包み込む。

たった一瞬で私は自分の部屋に戻ってきてしまった。
制服のままベッドに横たわっていて、隣にはYouTubeを起動させたままのスマートフォンが置きっぱなしだった。

壁にかかっている時計が7:40分を指す。

『やばい、遅刻だ…。』

そう言って足元のスクバを拾い上げ、階段を下りる。

昨日の夢はやけに鮮明だったなと。

もしかしたら夢じゃなかったのかも。だなんて想像したりして

その日の授業は全く集中できなかった。