俺に落ちるまで 8【及川徹】 (ページ30)

今日:30 hit、昨日:48 hit、合計:8,868 hit

377話ページ30

自分で羽を捥いでおきながら飛べないのは悲しいというそんな研磨に俺は｢お前はほんとにめんどくせぇなぁ｣と言った

研｢…うるさいな｣

次は踠くといい

"籠"から出たくて焦りと苛立ちから抜け出すための"近道"を探して目先の新しさを求めて

そうすればきっと次は

チーム全体のバランスが崩れていく

あ｢日向くん、がんばれ｣

少しだけ小声でいうと角名くんに｢なんで小声なの笑｣って言われたから私はこう言った

あ｢研磨くんがさっきから私の事みてるから｣

角｢Aが敵の応援してるからだよ笑｣

あ｢そんな事ありません｣

角｢あります｣

この前会った時はそんなに話さなかったのに今日角名くんに久しぶりに会ったのにめちゃくちゃ話しやすいって思った

角｢ねぇ今めっちゃ失礼な事考えてたでしょ｣

あ｢やだな〜そんな事ないよ｣

適当に誤魔化すけど角名くんにきっとバレてる笑

あ｢日向くん、研磨くんのど壺にはまっちゃだめだよ｣

日向くんだって、焦る時だって苛立つ時だってある。でもね、忘れちゃダメだよ。辛いくて苦しい時間は今だけだから

日向くんならこの苦しい状況を抜け出せる

だから日向くんもう1度飛んで

影山くんだって日向くんが狙われて、今だけ不調子な日向くんで、勇気が出なくてトスを上げるのを拒むのもわかる

けど、日向くんならなにか起こしてくれるってそう信じてあげてほしい

日向くんは真っ直ぐで素直だからきっと、点を獲るのに"近道"がないことは日向くんが1番知ってるんだ

あ｢え｣

影山くんの｢オープン！！｣といった言葉に私は身体に電気が走った感覚に襲われた

角｢ここでセンターオープンする度胸すごいね｣

｢あんなの取ってくださいって言ってるようなもんでしょ｣と驚いてた

あ｢でも見てて、あの2人にはそんなのきっと関係ないから｣

角｢ほんとどっちの味方なの笑｣

影山くんは日向くんをみての判断なんだって

日向くんの助走確保も日向くんの今の調子の良さにも影山くんが答えようとしていたことに感動した

あ｢っ、飛べ！日向くん！！｣

言った後に｢あ｣と勢い余って情が入りすぎて思わず日向くんを応援してしまった
私の声に気づいた影山くんがびっくりした目で私をちらっと見てにやっと笑った

そして日向くんの床を蹴る音とジャンプ音が鮮明に聞こえた