俺に落ちるまで 5 【及川徹】

228話 ページ31

母｢そうなのね！あ、じゃあAちゃん教えてもらいなよ！｣


だめだ、お母さんのテンションについていけない…というか、治くん達が自分の家にいる時点でおかしな話なのにこれ以上私の頭をパンクさせないで欲しいし、及川さんに誤解をされたくない


さっき治くんと及川さんが会った時、空気のピリピリ感がやばかった…


勉強を教えてもらう=治くんと2人きり


そんな展開は何が何でも私が阻止しなければならないし、そうならない様にしたい切実に。




あ｢大丈夫、勉強くらい1人できるから｣


少し意地を張ってしまった

ほんとは勉強とかめちゃくちゃ嫌いだし、毎年定期テストとかなると大変だった時期を思い出す



花菜に頼んで放課後毎日のように勉強付き合ってもらったけど今年は花菜だって矢巾くんと一緒にいたいだろうし、そんなこと頼めなくなってしまった




治｢せやな、俺よりAは頭良さそうやし…分からへんとこあったら俺に聞いてくれて構わへんからな｣

｢英語以外やったら教えられるかもしれん笑｣と口元を緩くして私に言ってくれた



あ｢大丈夫、ありがと｣

母｢Aちゃん、数学苦手じゃなかった？｣

治｢そうなん？｣


そう言って治くんは私を見てきた


母｢せっかくだから治くんに教えてもらいなよ〜！ねぇ！治くん！｣

治｢俺はどっちでもええですけど｣


数学が大嫌いな私の為に気を利かせてくれて治くんにそう言うけど、私にとってそれは頷ける話じゃなかった



勝手に話を進められ、しかも旅行に来た治くんにわざわざ私の為に時間を費すなんて絶対に迷惑だろうし、絶対に嫌だと思う

治くんは、優しいからお母さんのその強引な押しにいいよって言ってくれてるけど…


私は1人でも大丈夫だし、分からなかったら学校の友だちに聞けばいいんだから




それ以前に、及川さんに迷惑と不安をかけさせたくなかった


たかが、勉強を教えてもらうという話なのに何で私はこんなにもイライラしてしまっているのかが分からなかった



きっと、私は及川さんに見捨てられたくない、別れたくない、面倒臭い女に思われたくないってそう思ってしまったから




あ｢治くんありがとう。でも、大丈夫だよ｣



そう言って２階に行って自分の部屋に入った瞬間、何故か分からないけど涙が溢れてしまった




だって、及川さんに嫌われたくないっ、私が治くんと一緒にいる所を見られたくないっ、誤解をさせたくないっ、って思ってしまうから

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