8話 見覚えのない銀の箱 ページ10
私はしばらく唸り続けた。
唸っても、泣き叫んでも、結果が変わる訳じゃない。
そんな事は分かっていた。ただ、私には怒りを抑える為に唸る必要があった。
私にはその位の事しか出来なかったから。
他の方法が見つからなかったから。
ただただ分からなかったから。
こんな事をしても時間の無駄にしかならないことは、よく理解していたつもりなのだが。
だとしても、今の私では唸る事をやめられないようで、胸の内の黒いモヤモヤはなくならない。
しかし、時間がたつと落ち着いてきて、私は小学生の頃からずっと使っている椅子に腰掛けた。
しばらくすると、下の階からピンポーンという音がした。
誰だろうと思って角度が急な階段を降り、途中で転びそうになりながらも居間の大きな窓を覗き
込む。日光に反射して輝く緑ラインの白ヘルメットは、いつもの宅急便の人だ。
多分叔母さんが注文した荷物が届いたんだろう。
私はお仕事中で叔母さんが家にいない間、荷物を受け取ってほしいと頼まれているのだ。
窓を叩いて宅配便のおじさんに合図をした後、私は玄関の扉を開けて２度目の階段を下り、蜘蛛
の巣や枯れ葉が巻きついている家の門を開けた。
そして、いつものように荷物を受け取る。
……ん？ 何だこの箱は。
届けられた荷物の中の一つは、全く見覚えの無い箱だった。
縦横高さ約２０cmの銀色の箱で、髪留めにも使えそうな青い花の装飾が飾られている。
届けてくれた宅配便のおじさん曰く、元から入っていたものらしい。
包装紙に包まれていないから、郵便物ではなさそう。郵便箱へ直に入れたのだろうか。
私宛の荷物だ。中身が気になるし、普通の物じゃない気がする。
どうしようか。
……とりあえず、叔母さん宛の荷物を片付けてから、この箱を部屋に運ぼう。
家の中の階段を駆け上がっているうちに、箱が若干震えているのに気づいた。
それは、自室に入った後も変わらない。少しずつ、"カタッ……" って。
箱を押さえても震える。これは地震じゃない。となると、箱が勝手に動いていることになる。
怪奇現象かと思いながらそれを見つめていたら、蓋が開きかけている事にも気づいた。
息を殺して箱の隙間を睨む。だが、震えているだけでいっこうに状況は変わらない。
痺れを切らした私は、震える蓋をひとさし指で押し退けてしまった。
ラッキーカラー
あずきいろ
作者が今後使う名言(？)を作るコーナー（フラグではないはず）
私の一番大切な人は、貴方じゃない。
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さやや - 業務連絡/すーはさん» なるへそ！ やっぱり人気投票のアンケは無駄ではなかったのですね。なんとなーく予想はついておりますが、ちょっくらみてきます。 ε=ε=ε=┌(￣◇￣)┘ (2018年1月16日 19時) (
レス) id: b3682d3944 (このIDを非表示/違反報告)
業務連絡/すーは(プロフ) - やっぱ、自分の好きなキャラクターが出てくるとつい読み進めたくなってしまうんですよね ＾ω＾)キャラクター総選挙のやつ投票しておきました！ (2018年1月16日 16時) (レス) id: 6f805edbd6 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - T.loveさん» ありがとうございます！ まだまだ素人ではありますが、頑張っていきたいです！ (((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2018年1月14日 16時) (レス) id: b3682d3944 (このIDを非表示/違反報告)
T.love - 面白かったです！これ からも、頑 張ってください！ (2018年1月13日 21時) (レス) id: b4ffd76f66 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - みくにさん» ありがとうございます！ 励みになります〜！ （≧∇≦） (2017年6月28日 22時) (レス) id: 9b16da2478 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さやや | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/
作成日時：2016年6月14日 23時
