勿忘草の丘【オリジナル長編物語】

35話 黒猫と白猫の夢 ページ37

今日もまた、レム睡眠で夢を見た。

亀裂が入った夜空の空間に猫が二匹、こちらを見ている。

黒猫と白猫。黒は赤い目、白は青い目。まるで私に向かって、ついて来いと言っているように、

先へと歩いていく。私はつられるように走りだした。

だが、すぐに追いつく。走る必要なんて無かった。なので私の心はまだ落ち着いていた。



すると、突然猫が歩くのをやめ、空を見上げた。上も下も夜空だったから、本当に空なのか分か

らなかったが、空にあった亀裂がどんどん広がっていく。破片が落ちてくる。このままではとて

も危険だ。私達も空間と一緒に崩れてしまう。

自分の体をよく見ると、全体的に透けてきている。やっぱり私もここで消滅してしまうんだ。

猫達はもういない。もう逃げたのか、それともすでに消えてしまったのか。



空間が割れ、外の光が溢れたと同時に目が覚めた。



目覚まし時計のアラームが部屋中に鳴り響く。私はそれをよそ見しながら止める。

現在６時２７分。タイマーの設定を少しミスしたか。

アレンはまだ寝ている。仕方がない、今日から寝起きドッキリでも仕掛けましょうかね。

押入れの戸で布団を挟んでやろうかな。



「起きろ〜 学校行きたいんでしょ〜」

「ぐぇ〜」



鞄の中にはきちんと用具が入っている。忘れ物なし。もう制服に着替えた。アレンは既に小さく

なって私を待っている。家の鍵も持ったし朝飯も食った。

準備は万端。いつ外に出ても大丈夫。たとえ一矢が走って来ようと、私は屈しない。

しかし、ルシアの 〈Buongiorno！〉攻撃には負けてしまうだろう。

あの攻撃予測不能だから回避するのが難しいんだわ。

36話 兄貴は辛いよ→←34話 湿ってるお風呂場

ラッキーカラー

あずきいろ

作者が今後使う名言(？)を作るコーナー（フラグではないはず）

私の一番大切な人は、貴方じゃない。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す