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34話 湿ってるお風呂場 ページ36

その日の夜、湯につかっていた私はふと考えた。

アレンって、あの服しか持ってなかったよね?

だとしたら、今度買いに行かなくちゃ。今の服は叔母さんのおさがりがほとんどだから。

幸い、叔母さんのセンスが中性的なものだったから助かった。私も叔母さんと似ていて、着られ

ればいいもの。女性っぽい可愛いのとかほとんど持ってない。

それを着るときって葬式か都会に出かける時ぐらいだもの。

……私と叔母さんの決定的な違いは、ショートかセミロングをサイドでまとめているかだ。

女子力の差というのはこうもハッキリと出てしまうものなのか。

しかーし。一瞬危機感を覚えた私だが、こんな所で引き下がるほどやわじゃない。

若さと女子力(物理)は叔母さんに勝っているのだ。正直虚しいだけだが。

さて、そろそろ出よう。暖かい春の風呂は苦手だ。



寝間着は半袖短パンのだぼだぼなのを下だけ着て、上半身は白いノースリーブのシャツだけ。

なんたって暑いんだから。昭和の少年の服だと思えばどうってことない。

むしろパッツパツの白いタンクトップを着た少年の方が…… うーむ。

濡れた髪をバスタオルで軽く拭いてから、首に巻いて居間に戻る。叔母さんは、趣味のプラ板作

りで板の表面に色塗りをしていた。アレンは座布団の上でクッションを抱きながら寝ている。

アレンが起きるまで、もう少しだけこの格好でいようかな。もう家族の一員だし、いいよね。

私はソファーの上に転がった。右手の人差し指を立て、何かを頭の中でイメージする。

出てこいと心の中でつぶやいた瞬間、指の先から青い光が溢れた。

どうしてこんなにも美しいのだろう。何故彼は私にこの力を与えたのだろう。私よりも美しく、

強い人は世の中に沢山いるのに。別に私じゃなくても良かったはずなのに。

アレンは何の目的のためにここにいるんだろう。何故私を魔女にしたんだろう。彼はお嬢様の頼

まれ事でここに来た。私を一人前の魔女にした後、何をするんだろう。

………まだ思い出せないのかアイツは。



「Aちゃん、今度のプラ板はどんな絵がいいと思う?」

「花の絵」

「ふむふむ、花と言っても結構種類があるよね。例えば?」

「この間は勿忘草だったから、今度は彼岸花」

「りょーかい」



まだ、聞くべきじゃないのか。

座布団で寝ている少年は、目を閉じたまま。

ずっと、答えてくれない。

35話 黒猫と白猫の夢→←33話 相合傘じゃありません


ラッキーカラー

あずきいろ

作者が今後使う名言(?)を作るコーナー(フラグではないはず)

私の一番大切な人は、貴方じゃない。


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設定タグ:学校 , 魔法 , 恋愛   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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さやや - 業務連絡/すーはさん» なるへそ! やっぱり人気投票のアンケは無駄ではなかったのですね。なんとなーく予想はついておりますが、ちょっくらみてきます。 ε=ε=ε=┌( ̄◇ ̄)┘ (2018年1月16日 19時) (レス) id: b3682d3944 (このIDを非表示/違反報告)
業務連絡/すーは(プロフ) - やっぱ、自分の好きなキャラクターが出てくるとつい読み進めたくなってしまうんですよね ^ω^)キャラクター総選挙のやつ投票しておきました! (2018年1月16日 16時) (レス) id: 6f805edbd6 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - T.loveさん» ありがとうございます! まだまだ素人ではありますが、頑張っていきたいです! (((o(*゚▽゚*)o))) (2018年1月14日 16時) (レス) id: b3682d3944 (このIDを非表示/違反報告)
T.love - 面白かったです!これ からも、頑 張ってください! (2018年1月13日 21時) (レス) id: b4ffd76f66 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - みくにさん» ありがとうございます! 励みになります〜! (≧∇≦) (2017年6月28日 22時) (レス) id: 9b16da2478 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2016年6月14日 23時

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