勿忘草の丘【オリジナル長編物語】

26話 快晴の空を見上げて ページ28

日曜日、今日から訓練が始まる。

私はホウキと杖を持って自宅の庭の芝生に立った。

アレンは庭の石に登って、杖を構えながらぶつぶつと何かを呟いている。



「それでは、第１回魔法訓練を始める！ 覚悟はいいか貴様ァ！？」

「はい」

「あぁ、今のはふざけただけだから気にしないで。それで、さっき呟いてたのは僕らが周りから

見えないようにするためだよ。……変な勘違いしないでね！？」

「しないしない」



こいつが私に魔法という訳の分からない事を教えるのか。とても心配だ。

何だろう、本当にアレンの事が心配だ。呆れたとかの意味の他に。



もしも本当に箒で飛べるなら、その訓練の時に一人でやらないといけない。

もしもアレンが瓶や試験管を使って何かをやるなら、小さすぎて見えないかもしれない。

だって、彼はまだ小人だから。今はまだ小動物にしかなれないと、昨日言っていたから。

何か事故があったら、彼はうまく対処できないだろう。

周りの生き物達から身を守るのは、彼にとってとても大変な事だろう。

なら、彼が元の姿に戻れるようになるまで、私が魔法を使いながら守ってあげよう。

小さくなった原因を見つけて、魔力が足りなければ私が補ってあげよう。



そのために、私はここで努力をしよう。



「まずは箒の乗り方を教える！ 箒にまたがり、飛ぶイメージで地面を蹴るんだぁ！」

「イメージだけか。よっと」



アレンの言う通りにして軽く地面を蹴ったら、若干ではあるが体がふわりと浮かんだ。小１の頃

にやった自転車の練習とはまた違う感じ。だが、まだ慣れないので物凄く小刻みに震える。

何回かやって慣れてくると、少しくらいなら周りの様子も確認できるようになってきた。

おー、アレンがいるぞよ。アレンは相変わらず小さいぞよ。

ちなみに、箒にまたがっている感覚はあまり無い。

しいて言えば、箒を掴みながら体が浮いている感覚。

じゃないと痛いでしょ。全体重が箒という細い棒にかかったら結構痛いでしょ。

浮遊する私を見たアレンは、私自身のの心のツッコミなどおかまいなしに声を上げる。



「ああああっ A！ よそ見しちゃダメだよ！」

「うわぁっ！？」

「大丈夫ー！？」



……よそ見に慣れるまでには、時間がかかりそうだ。

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ラッキーカラー

あずきいろ

作者が今後使う名言(？)を作るコーナー（フラグではないはず）

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