勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

123話 入り混じる過去の話 ページ33

「以上が俺と椿がここに来るまでの過去だ」

「次は雄也と椿がつがいになるまでの経緯を白状してもらいましょうか」

「さ、紗羅、今ここで惚気話はちょっと恥ずかしいよ」

「冗談よ。椿は恥ずかしがり屋なんだから、可愛い〜！」

「きゃ〜！」

「おい……」



若き日の名残なのか、大人と子供がいちゃいちゃしはじめた。非情に澪に見せてやりたい状況に

至っているのだが、とりあえず落ち着いて、さっき話した事をまとめようと思う。

だいぶごちゃごちゃしているので、自分でも辛い。

しかも、目の前の景色と自分自身の感情がカオスなせいでもっと辛い。



子供の前で何やってるんですか。



１年前、世羅と紗羅は私達の母校である荒沢小学校に６年生として入り、当時まさかの６年生だ

った一矢の父の雄也さんと母の椿さんに出会った。そして、２人は人に作られた魔法使い(人工型

魔法使い)である事と、"ヴァイス"の２度目の襲来で追われている身である事を知った。そして、

当時住んでいた孤児院を出てあっちの世界へ行き、二人を作った真織さんと再開。

真織さんは百合亜さんと同い年の友達で、地方の人々の種族や、街周辺にある謎の紋章の研究等

を生業としているらしい。

数日後、"ヴァイス"の３度目の襲撃で、雄也さんと椿さんは安全のために私達の世界と変わりな

いような街並みの空間に飛んだ。要は異空間へ行ったんだ。

異空間では時が過ぎる時間が私達の世界よりも早く、たった１年であそこまで成長したという。

そんな所で雄也さんは椿さんにプロポーズ、結婚して二人の子供(一矢とゆぅちゃん)ができた。

ある日、その異空間から抜け出し、この世界に戻ってきて生活しているらしい。



「雄也が今３３歳だから…… たった１年で異空間では２１年経ってたのか！？」

「待って、じゃあ私が一矢と過ごした６年はどうなるの」



そう、私は確かに一矢と小学校の６年間を過ごしてきた。

明らかに話の辻褄が合わない。おかしい、おかしすぎるのだ。

どうやって私と一矢が出会って、ここまで来たのか、教えて欲しい。



「Aと一矢くんと勇助くんは、みんな異空間に飛ばされてた時期があったのよ？」

「え」



とんでもない助言をしてくれたクラーレさんが、今回もっとも難しいこの世界と異空間の解説を

簡単にまとめてくれるという。

一矢の方については完全に死にかけているが、なんとかなるだろう。

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ラッキーカラー

あずきいろ

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