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119話 馳せる想いと届かぬ想い ページ29

【アレン 視点】



今日は金曜日。祝日のためA達の学校はお休み。

みんなであっちの世界に来て、僕は久し振りに師匠と二人きりで話をしていた。

こうして話をするのは、何週間ぶりだろう。

魔法使いの仕事はずっと先だから、落ち着ける。

今は日之影家に置かれた茶色のソファーに二人並んで座っている。

時間を持て余した僕は、手に持った東雲色の麦茶に浮かぶ氷を揺らして音を立てていた。

それにも飽きて、僕は師匠の方を見る。



その瞬間、目に入ってきたのは。



黄昏色に染まった毛先と、血のような赤に変わった瞳。

陶器の様に白く繊細な肌を辿れば、細い首にかかる銀の鎖のペンダントが目に入り、それには瞳

と同じ真っ赤な宝石がついている。

まるで美しい人形の様だった。

彼の視線の先には、僕の大切な人の姿が。彼にとっても、彼女は大切な存在なんだろう。

ぼんやりと視線の向こう見つめていると、突然師匠が話しかけてきた。



「アレン、お前ってAのこと好きだろ?」

「ヘァッ!?」



師匠が唐突に話しかけてきたうえに変な事を尋ねてくるもんだから、変な声が出てしまった。

さっきの赤眼は、読心術を使っていたからだったのか。

僕の反応をイエスと受け取ったのか、師匠は笑った顔を冷まして眉を寄せた。



「そっくりさんと大事な人が一緒なんて、皮肉なもんだな」

「うぅ、そういう師匠だってAが好きなんでしょう?」

「どうだかな。あいつは昔死んだ友人に似てるんだ。だから、なんだかな……」

「じゃあ、Aは生まれ変わりってやつですか!?」



驚きで大声を出した僕に、「落ち着けよ、まだそうと決まった訳じゃない」と言って師匠は宥め

てくれた。Aがここにいなくて本当によかった。

師匠の言葉で落ち着いた僕は、自分の本当の役割を思い出していく。

故郷の集合写真を確認した時、全ての記憶が蘇った。

僕の役目は、皆を正しいルートまで導き、それまでAを守り抜くこと。

守らなければいけないのはAだけじゃない。一矢や勇助だって僕の守護対象だ。

ただ単に、Aの優先順位が高いだけ。

それなのに、僕は彼女に恋をしてしまったようだ。本当はこんな風になっちゃいけないのに。

第一、Aは一矢が好きだし、一矢もAが好きだ。まだ両片想いなだけ。

僕は君が好き。君はあの子が好き。



でもいいんだ、それで。



僕は自分の好きな人が幸せになってくれれば、それで嬉しいから。

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勿忘草の丘 *作成話 &・つぶやき

・中二病って難しいけどかっこいいんです


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作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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さやや - やはりそうきましたか…(^∇^) ヒントもあるのでじっくり考えてくださいよ〜 (2017年4月3日 22時) (レス) id: 5be7de8890 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - キャラクイズは3番で!2番と迷いましたー(笑) (2017年4月3日 19時) (レス) id: c42f2bb75a (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» そろそろ3.から4.に移りそうなので、今回の番外編では後から入ってきた人達の設定等を公開したいと思います。またキャラ選挙もやりますね〜 d(^_^o) (2017年3月31日 23時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - さややさん» 大変ですね……ご心労お察しします。根気よく頑張ってくださいね。応援してます! (2017年3月31日 22時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» 文字化けですね…… 百合亜さんのお父さんの名前は龐で、ミチルと読みます。満の方に変更しようと思います。繫木の方はどうしても変更するわけにはいかないので、見つけ次第直すしかないですね…… (´Д` ) (2017年3月31日 22時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年2月4日 10時

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