勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

117話 異世界の地形 ページ27

暖かい日差しと眠気に包まれ、私は目をこする。

今は昼休み。クラスの皆は所々へ散らばり、教室内はがらーんとしていた。

そんな中、私はお手洗いに行っているルシアを自席で待つ。

ぼんやりしながら外を見ると、西の空から雲が迫ってきているのを見つけた。

今日は水曜日。確か晴れ後雨だったっけ。

昨日は何故か授業が半日だったから、いつもの６時間授業に戻るのは少し辛い。

熱を帯びた漆黒の髪に宇宙を照らす希望の光が届かなくなったと思ったら、もう光が漆黒の雨雲

に封じ込められていた。……中二病語って疲れる。

今日は折り畳み傘を持ってきていたから、この前のような相合傘になる事はない。

アレン曰く、「一矢のライフがもたないよ」らしい。

身長差のせいで私に傘を持たれるのがそんなに屈辱的なのだろうか。

アレンの言葉にテレパシーでそう答えると、彼は「惜しいなぁ」と言って鞄の中に潜り込んだ。

でも身長が低いのは事実ではないか。



「A、近いうちにあっちの世界に３日間くらい行くんですけど、いいですか？」

「いいよ。魔法使いの仕事？」

「はい。街の北側にある大きな雪山を越えた所にあるんですけど、山登りはせずに周りの小さな

道を通って行くつもりなので安心してください」

「ふーん」



お手洗いから帰ってきたルシアが、魔法使いの仕事の話をした。

新人魔法使いの澪にとっては初仕事だ。「腕がなります！」とルシアは言う。

大きな雪山の向こうにある荒廃した町、そこに会いたい人がいるらしい。

話が変わって、世羅の怪我を早く治したのに全然"奴"と戦っていない事について。

"奴"の気配が無くなったことによる急な予定変更で、街の防衛に専念することになったそうな。

折角治してもらったのに、なんだか無駄な事をしてしまった様な気がする。

「備えあれば憂いなしってやつデス」とルシアは苦笑いをした。

まぁ、クラーレさんと出会えたことに関しては良かったのだが。



「それでは今からAと勉強会をしまーす」

「話逸らした」

「Pardon me？」

「話を逸らしましたね」



ルシアは、本日も半ば強行突破で勉強会を始めた。

百合亜さん達の街の東西南北の地形等について復習しようと言い出す。

簡単にまとめると、中央に商店街、北は日之影家と雪山、南は森と湖、東は住宅街と南から広が

る森と小さめの雪山、西はフェアヴァルト家とその向こうに砂漠の渓谷。

一言でいうと自然豊かだ。

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ラッキーカラー

あずきいろ

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・中二病って難しいけどかっこいいんです

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