勿忘草の丘５.【オリジナル長編小説】 (ページ5)

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185話鮭と鱈子とfrypan. ページ5

【紗羅視点】

さーて、雪の暗い話も終わったことだし………

ひじきでも潰しに行こうかしら。

できれば小学校時代(約２ヶ月の時代)の友達とも会いたかったんだけど、さっさとひじきを片付

けなきゃいけないし、それが終わったら世羅達の方に行かないといけないし。

Aが拐われちゃったんだから、今はまだ我慢しなきゃいけないわ。

タイムリミットは明日の夜。それまでに、Aを取り返さないと。

叔母さん達にちょっと遅れるって言えば、１日くらいは待ってくれそうだけどね。

……本当は、ひじきがこんな所にいたら凄く危ないのよ。

ひじきは、私達がユラ達に出会った時もヒース町に現れた。そして、すでにコンクリートの残骸

が広がっていた荒地を、もっと壊していった。

ひじきの出現場所は"奴"が管理しているみたいで、今はひじきの魔力が荒澤町にでているの。

ヒース町に出現した時は、ひらけた場所で戦ったから被害が少なかったけど……

荒澤町に空き地があるようには思えない。あったとしても、ヒース町の時の戦場に比べればクン

ショウモくらいの小さな田んぼくらい。

周囲を気にせずに安心して戦える範囲が、全然足りないのよ。

こんなんじゃあ、我儘なんか言ってられないわね。結界を張って瞬殺するわ。

「じゃあ紗羅。今１０時だから、そろそろ中学校に向かうか？」

「そうね。支度もしなきゃいけないし、１１時くらいになったら家を出ましょ」

「ま、待たれい、運命に導かれし光の巫女よ……」

「あーはいはい。もしかしてお昼ごはんのこと？」

「紗羅、知里花さんの言いたいことが分かるの！？」

「えぇ。ちり姉は痩せの大食いだから、慣れれば言いたいことだって見えてくるわ！」

そう、ちり姉が心配しているのはお昼ごはんが無事に食べられるのかどうか。

出発時間が１１時となれば弁当確定。それに、もう冷凍おにぎりを用意してある。

しかーし、ちり姉はそれだけじゃ満足できないのだ。

仕方ないから、ちり姉にはおにぎりを４つ持たせることになったわー。

シャケとタラコを２つずつ。

「僕だけ、ずっとみんなの役に立ててないね……」

「なぬっ、そんなことねーよ勇助！お前は森の神様なんだぜ？もっと自信持て！」

「でも、僕はまだ成長段階だし、みんなみたいに戦う術もないしさ……」

「大丈夫だよ勇助くん。そんなキミには、僕が今作ったフライパンをあげよう！」

「うわぁぁ、一矢が２人いる……」

フライパン……！？