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213話 懐中電灯で照らしたら ページ33

【勇助 視点】



「………う、うわぁぁぁっ!!」



ご、ご神木の幹に、黒っぽい化け物が……!

どうしよう、このままぼーっとしていたら殺されるかもしれない。

僕は咄嗟に近くにあった物陰へ飛び込み、頭を抱えてただただ身を縮めていた。

時折物陰の隅から化け物の様子を伺うけれど、どう考えたって並みのおばけじゃないっ!

大きさがひじきより少し小さい割に、とんでもなく強そうだし……

しかもこの巨体で至近距離まで近づいてきて、僕らの方はわざわざ懐中電灯で照らさないと見え

ない性質とか怖すぎる。気づかずに近づいたらほぼ即死じゃないか。



「なっ、なんだよアイツ!? ひじきと同じ"奴"の手先か!?」



世羅もびっくりするくらいだ。このおばけはきっと強いんだろう。

やっぱり、"あの悪い人"が僕達を殺す為にこのおばけを…… って、あのおばけはまだ幹の上!?

大木の幹にまとわりついている黒い手と、ぎょろりとこちらを睨んでいる真っ赤な目は、とても

じゃないけど数え切れない程の数で、大小様々なものがある。その上に生えた胴体には、赤黒い

蔦のような模様が描かれているようだ。

後ろには、先端にいくにつれて黒から白くなっていく羽が生えている。

腕はないものの、僕から見て左側の上に小さくまとめられた緑っぽい髪が、腕の代わりを果たし

ているらしい。容姿で言えば、黒田さんと同じ長さの髪をサイドテールにした女性。

黒い顔には白い歯しか見えず、表情は伺えない。

って、こっち向いた! 早く隠れないと……!



「みんな、早く隠れて! 絶対に攻撃なんかしちゃ駄目よっ!」



僕達がご神木の垣根に隠れる中、大福のような精霊は紗羅の腕から短い手を伸ばし、あの化け物

から離れたくないとでも言うような顔で鳴いていた。

ふみー ふみー と鳴き続ける精霊の傍、薄い苔が生えた地面に座り込んでいる世羅と雫さんは、

化け物に気づかれないように小声で口論をしている。



「なんでだよ雫、あいつが俺達の街を襲ったらどうするつもりだ!?」

「世羅、安心して。彼女はそんなことしないから」

「なんでしないって分かるんだよ」

「勘よ。貴方だっていつもそうでしょう?」

「まぁそうだな……」

「ふみぃ……」



大福のような精霊がしぼんだように息を吐き出した頃、もう一度幹を照らす。

そこに化け物の姿はなく、幹には小さな傷跡ひとつ残っていない。

そして、結局木ノ葉さん達を見つけられないまま街へ帰った。

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ラッキーカラー

あずきいろ

4. までのキャラが扱える楽器をご紹介!《共通点も考え中》

シネラ:???…… まさかのオリジナル楽器です。ネタバレになりかねないので???状態。


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設定タグ:シリアス , 魔法 , 恋愛   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/  
作成日時:2017年8月12日 22時

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