晋助の口喧嘩相手(下) ページ4
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「どこ連れて行く気なの、てかいくら払ったの?」
「んなこたァどうでもいいだろ。」
のんびりと気の向くまま、という感じの歩調で吉原を闊歩する晋助。
「何で今更私を買い戻したの。」
「だから預けてたモンを取りに来たって言ってんだろーがよ。」
「捨てたけどまた恋しくなって買い戻したって事でしょ、自分勝手過ぎるんじゃない?!」
腹を立てて声を上げると、晋助の足が止まり、私の方に振り向いた。
「うるせぇな、お前みたいな色気も愛嬌もねぇ奴誰も欲しがらねぇと哀れんで買ってやったんだ。」
「そりゃあとんだ馬鹿な金の使い方しましたねぇ!!無駄金になったようで私は嬉しいけど!!」
怒りに任せて嫌味を言うと、それを聞いて晋助はふっと微笑した。
「冗談だろーが、お前の減らず口はいつ聞いてもやかましくて仕方ねェな。こんな口喧嘩できる奴ァ、お前くらいしかいねぇってモンよ。」
「じゃあ何で追い出したの。」
「お前は口喧嘩は強くても戦は出来ないだろ。」
「だから何よ。」
「察しの悪ぃ奴だな。あそこの店主とは知り合いなんだよ。だからお前は捨てても買ってもねェ。」
「いくらだ、とか言ったじゃない。」
「ありゃただの挨拶じゃねぇか。」
「じゃあ...私をここに置いて.....今まで戦ってたわけ...?」
今更そんな事実を明かされても、
上手く飲み込めるわけない。
この一年私は本気で晋助に捨てられたと思って憎んでいたのだから。
それがどうだろう、私を安全な場所に置いといて戦ってたなんて。
「これで私が許すと思わないで。」
「許そうが許すめェが連れ帰るさ。」
「あれから一年間ずっと晋助のこと考えてたんだから。どうしてくれんの、このとち狂った頭。」
「そりゃ治しようがねぇなァ、」
クツクツと喉で笑いながら再び歩を進める。
「一年間もほったらかしといて、ごめんの一つも言わないつもり?」
彼を追い抜いて、目の前で仁王立ちする。
「...戻されてぇのか。」
「嘘ですなんでもないです.......どうせ一年間がどれだけ長いかなんて、鈍感男にゃ分かんないでしょうし。一日千秋の思いだったんだから総計三十六万五千年は待ったわ。」
「そんなに待たせた覚えはねェが、」
振り向きざまに腰を引き寄せられ、瞬く間に触れ合う唇。
「これで勘弁してくれ。」
そう言って勝ち誇ったような笑みを浮かべる晋助は、それはとてもご満悦の様子だった。
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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします!分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年8月16日 5時