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銀さんとロボット(中)の(上) ページ18

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「どうだ?気分は。」



その声は、あの時聞いた成人男性の声ではなく、



しゃがれた渋みのある老けた男の声だった。




色も解像度も元に戻って、綺麗な視界になっていた。



目の前で歯を見せて笑う少し背の低い男は、特殊なゴーグルをはめ、汚れたつなぎを着て、片手にドライバーを持っていた。




『あなたは....どちら様ですか?』


「俺ァ平賀源外だ。お前の体、全身まるごと改造させてもらったぞ。」



そう言われて私はようやく自分の容姿が変わっていることに気が付いた。


散々傷つけられた破損だらけの手足は、陶器のように滑らかで白い綺麗な手足になっていた。


破れていた服も、今は立派な黄緑色の着物。



店で売られていた時よりももっと綺麗な姿へと変貌していた。




『ですが、私は修理代を払うお金を持っていません....』



惜しそうに手を擦りながら、私は小さく声にした。




「そいつは心配すんな、金は持ってなくても払ってくれるご主人様は持ってんだから。」


そう言うと、男はほれ、と顎で指した。



「おーおー、俺好みに仕上がってんじゃねぇの。すげーなじーさん。」



『貴方は...あの時の....!』



そこには前の記憶データと変わらない風貌をした銀髪赤眼の男が立っていた。



「そうそう、あの時の救世主な。今日からお前の新しい持ち主だから、ご主人様って呼ぶんだぞー。」



にやにやと笑いながら私の頭をぽんぽんと撫でると、突如後頭部をぶたれたのか地面に伏した。



「キショい事言ってんじゃねーヨ!!」


怒鳴る少女の強すぎる衝撃に、男は額に血管を浮かばせながら起き上がった。


「うっせーな!!俺が買ったんだから、こいつにどう呼ばせようが俺の勝手だろーが!!」


「だからってご主人様はねーアル、まるでメガネかけた童貞オタクみたいネ、」


「それ僕のことかァァァァァ!!!!」


嘲笑する少女に声を荒らげたのは、続いてやって来た眼鏡をかけた一人の青年だった。


『あの、どういうことでしょうか。』


まだ、困惑している私に男は振り返って一言言った。




「今日からお前は俺に一生仕えるって事だ。」




その言葉を聴覚ユニットがキャッチした瞬間、心臓部から活気のようなものが湧き上がった。



『ほ、ほんとに??!!ほんとに??!!』




有頂天になった私を見て、皆唖然として固まった。




「お前.....嬉しいの?」




驚きを隠さない彼の赤い瞳を見据えて、私は何度も頷いてみせた。

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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします!分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年8月16日 5時

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