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十五夜の月【高杉】(上) ページ14

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こんな偶然があるものなのか。





それは、運命ではないかと誤想するほど、




万に一の奇跡の再会だった。





__________________.....







満月の眩い光が川面をちらちらと煌めかせる夜。





川面にさざ波を立たせながら悠々と進む屋形船が一隻。




その屋形船の仲居として働く私は、個室の乗客に頼まれたという酒の入った徳利(とっくり)を盆に乗せて、廊下を歩いていた。




「お持ち致しました。」


床に膝を着き徳利を乗せたお盆を傍らに置くと、襖を開けていつもの調子で淑やかに言った。



ふと顔を上げると、



障子の戸の際に腰を掛ける男が、しばらく無言のままま、艶やかに三味線を弾いていた。



艶美な紫髪の頭に白い包帯を巻き付け、黄蝶が舞う京紫の着物を少しだらしなく纏うその男は、



ふと手を止めて、私の方にゆるりと顔を(かぶ)けた。



その隻眼は爛々として、色気があり、鋭く尖った刃のような鋭利さを感じさせた。





その人の魅惑的な雰囲気に、自然と心が惹き付けられた。




一抹の下心を押し殺して下がろうとした時、



「おいお前、ちょっと待て。」



色っぽくも男らしい低い声が私を呼び止めた。



「丁度一人で呑むのに飽きてたところなんだ。一杯付き合ってくれねぇか。」



働いている人間に酒を勧めるとはどういう了見か思えば、
彼の頬は仄かに紅潮しており、足元にはもう一本の徳利が転げ落ちていた。




(少々酔っておられるのですね。)





しかし仕事中なのだから、私情で潰していい時間など与えられていない。




「勤務中です故、ご遠慮させていただきます。」



丁重にお断りしたものの、まだ私を帰さないつもりなのか、少し黙り込りこんでは再び口を開いた。



「そうか、ならせめて俺の三味線でも聴いていけ。」


「で、ですから、」



「一節だけだ、仲居は客をもてなすのが仕事じゃないのか?」


「.........分かりました。一節だけなら。」



結局誘惑に負けた私は開けた襖を閉じると、彼のいる方へと三、四歩と歩み寄り、正座した。



それを確認した彼が止めていた手を動かすと、それに伴い、三味線の甘美で独特な音色が部屋にも夜の空気にも響いた。



彼はそこから見える月を眺めながら私に一言呟いた。



「満月だな。」



その煌々とした満月を見つめて私も言い返した。







「はい、今宵は十五夜でございますから。」








秋の夜風が熱の篭った部屋を冷ますように吹き抜けた。

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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします!分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年8月16日 5時

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