教育係、温泉へ行く6 ページ39
鷗外君に下ろしてもらった僕は、中也君から帽子を取り上げ、治君の包帯を取ろうとして阻止され、今は温泉の縁に腰掛けて足だけを湯に浸している。
治君と中也君が僕の太腿をチラチラと見ているので、興味があるの?と揶揄ってやれば中也君は顔を真っ赤にした。
「そんなにこれが気になる?」
と、傷をなぞりながら聞けば頷かれた。
「露伴さんが杖をつくのってその傷が原因なんですか?」
中也君にそう尋ねられたから、そうだよ、と返す。その後ろで鷗外君が困った様な顔をしているのが見えた。また負い目を感じてるな。
「でもね、この傷は大切な人を守ってできた傷なんだ。だからこの傷は僕にとっては勲章なんだよ」
だから気にしないで、そういう意味を込めて鷗外君を見つめる。そうすれば、鷗外君は少しだけ微笑んだ。
「…そうだ!露伴さん、俺が背中流しますよ」
「ちょっと中也、私がやりたいから退いてよ」
背中流してくれるのは良いけど、鷗外君もやってあげてよ。さっきまで微笑んでたのに今は泣きそうだよ?
結局、じゃんけんで治君が背中を流してくれる事になった。中也君は鷗外君。治君に負けて悔しいみたいだけど案外嫌じゃないみたい。良かったね、鷗外君。
「露伴さんって余り前線には出ないのに傷跡が沢山ありますね。古いものばかりだけれど」
「まあそれは…僕も昔はやんちゃしてたって事だよ」
治君のその包帯の下には、いったいどれだけの傷跡が隠れてるんだろうね。
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ペンギン屋(プロフ) - ふみさん» 応援ありがとうございます!頑張ります! (2018年4月22日 21時) (レス) id: 4288ea99b0 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - とっても面白いです(^^)b頑張って下さい! (2018年4月22日 8時) (レス) id: 6ed63001fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペンギン屋 | 作成日時:2018年4月17日 23時