教育係と沈黙 ページ29
ガタン、とやや乱暴に扉を開け、ずかずかと無遠慮に執務室を横切る男がいた。
治君はそのまま首領の目の前で立ち止まる。
「おや太宰君。執務室に君の方から来るとは珍しいなあ。紅茶を用意させよう。北欧産のものすごく高価な葉が届いてねぇ。饅頭にかけて食べるとこれが絶品で＿＿＿＿」
「首領。私が何の為にここに来たか、ご存じなのでは？」
治君のその言葉に首領は薄い笑みを張り付けたままだ。
僕は静かに二人の会話を聞いている。相変わらず、緊張させてくれる空気だよね。この二人が会話すると。
治君は、窮地に陥っている作之助君を助け出したいらしい。だが首領は特務課との取り引きの件がある。首領にとって作之助君は捨てる事で価値を持つ駒だ。
首領が手に持っていた封筒を机の上に置いた。何気なく目を留めた治君は、何かに気付いたみたいで。
「何処へ行くのかね？」
「織田作の許へ」
治君が身を翻し、扉の把手に手をかけようとした時＿＿カチャリ、と小さな音がした。隣室から音も無く出てきた黒服が自動小銃を突きつける。
振り向いた治君はただ室内を眺め、それから首領を見た。
首領は先程と変わらぬ姿勢のまま、治君に向けて微笑んでいる。
僕も、相変わらず沈黙したまま事の成り行きを見守っている。
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ペンギン屋(プロフ) - ふみさん» 応援ありがとうございます！頑張ります！ (2018年4月22日 21時) (
レス) id: 4288ea99b0 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - とっても面白いです(^^)b頑張って下さい！ (2018年4月22日 8時) (レス) id: 6ed63001fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ペンギン屋 | 作成日時：2018年4月17日 23時
