夏は嫌いじゃない。【A3!】 (ページ2)

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『お疲れ様でした～…』

ブースに響く私の声。

疲れ切った風を装う。ホントは
全っ然疲れてなんていない。

『…そういえば。』

私はそうﾎﾞｿﾘと呟くと,自分のリュック
から,スマホを取り出す。

アフレコの一時休憩の終わり頃に
メッセージが送られてきていたのを
思い出したから。

【姉貴:至急!!MANKAIカンパニーに
来て!!待ってるからね♪
寮玄関開けとくから,勝手に
入ってきてね!!】

セキュリティ大丈夫かよ。と心の中で
ツッコミながらも,私は
足を進めた。

__MANKAIカンパニーにて__

到着した私は,何の迷いもなく,
MANKAIカンパニーの団員寮へと
足を踏み入れた。

??｢ｯ?!誰だ,お前。｣

オレンジの髪の見た目偉そうな人が
私を見るなり,ギョッとして声を上げた。

『…ども。こちらの監督に呼ばれて
来たんですけど。』

取り敢えず,いつも通り,私は
無愛想に答える。

??｢A～ｯ!!待ってたよ～ｯ!!｣

聞き慣れた声が私の耳に入る。

それは紛れも無く…
私の姉貴。立花いづみだ。

『姉貴…。』

??｢あれっ,また可愛くなった??
今日呼んだのはね,Aにコーチを
お願いしたくって!!｣

姉貴は嬉しそうにそう告げた。

『私…忙しい…。通いとかキツい…』

??｢じゃ～。ここに住もう!!｣

『は…ｯ。』

ダメだ,会話にならないと思いつつも,
昔っからお姉ちゃんっ子だった
私は,断れるはずもなく…

『…分かった。けど,優しくなんて
教えないかんね…ｯ!!』

私は,答えるとぷいっとそっぽを向く。

これがひと夏の物語の始まりだった。