６ 踏み出した一歩 ページ7
五条さんは立って壁に寄りかかり、夏油さんは椅子をベッドの近くに寄せて座って経緯を話してくれた。
私が襲われたのは夕方の路地裏で、呪霊というのが占拠していたらしく、退治しにきた夏油さんと五条さんが私を病院に運んだらしい。
運んだ頃にはもう夜だったから、一日経ってから訪ね直したらしい。
『あの。呪霊とか術式のこと、教えてくれませんか?何も知らないので……知りたいんです』
夏「……いいの?知らない方が幸せなこともある」
『知らなくて何もできなかったっていうのは……もう嫌なんです。教えてください』
夏「…そっか。君は強いね。じゃあ教えるよ」
夏油さんはゆっくりと私が分かるように、呪霊や術式、呪いのことを話してくれた。夏油さんや五条さんは呪術師で、呪術専門の高校にも通っているらしい。
呪いなど知らずに16年間過ごしてきたから、少なくとも頭は混乱している。けれど、前世でもこれが現実だった。……夏油さんを苦しめてきたんだ。
夏「んー……これくらいかな」
『し、正直、混乱してます…。本当に呪いが存在してるなんて……』
五「これが現実。お前だって路地裏で呪霊を見ただろ。術式あるにも関わらずボコられてっけど」
夏「仕方ないだろう。本当に今の今まで自覚してなかったんだ」
『……二人ともキツイ…』
五条さんは言っていることがキツイ…。まぁ事実だから言い返せもしないけど。
それに夏油さんにも優しく慰められてるのも、何だか悔しい。
……今世に生まれ変わって16年。やっと前世の記憶を少し思い出し、術式を認識させられた。今世の私がすることの、やるべきこと。
────夏油君と同じ、呪術師になることだ。
『……私、夏油さんみたいな呪術師になりたいです!』
夏「…ぁ、え?!私みたいな…?」
五「術式の自覚もできない雑魚が、呪術師に?」
『わ、私は本気です!私は私なりの考えがあります。……呪術師に、なれますか?』
夏「……呪術師になれば、いつでも死と隣り合わせだ。正直過酷。それでも、なりたいのかい?」
夏油さんは真剣な顔で私の目をまっすぐ見つめる。……私は本気だ。
これから術式を使えるようになって、強くならなくちゃ。夏油さんを救えるくらいには強く。
『はい。なりたいです。よろしくお願いします!』
私がそう決心すると、二人は面白そうに笑った。
──たった今、やるべきことの第一歩を踏み出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無名 | 作成日時：2021年1月2日 3時
