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Aside




『…ッ、森ばっか…エウリュディケ荘園って何処、?』



片手に赤いシーリングスタンプのついた手紙だけを握りしめ薄気味悪い道を歩く。


バーを飛び出してきたものの手紙に表記されているエウリュディケ荘園には一向に辿り着かない。


『ほんとにあるのかな…』



中々辿り着かない為、荘園自体が存在するのかという事すら怪しくなってきた。


やっぱり悪戯だったのだろうか…。


……それでも引き返す訳にはいかない。
戻りたくないのだ。あんな所…。


思い出す嫌悪感、辿り着かない不安感から涙が零れそうになり下を向く。



『ッ、あんな所に比べたらこんなのへっちゃら…。』



そう自分に暗示をかけ、顔を上げると先程までなかった城のような建物が佇んでいた。


なんとも言えない雰囲気に息を呑む。


こんな建物、先程までは無かったはず、
…もしかして此処がエウリュディケ荘園なのだろうか。


今はとにかく足を休めたかった。
人に会いたい。


その一心で鉄格子の前まで進むと、待っていたといわんばかりに勝手に開いていく。



『勝手に開いた…入れ、ってこと…?』



半信半疑になりながらも鉄格子の門を潜り大きな扉の前まで足を進める。


流石に勝手に入るような無礼者ではないので、コンコンッと控えめにノックをする。


………少しの間が開く。 誰も居ないのだろうか。


もう一度ドアをノックすると扉の向こうからバタバタとひとつの足音が聞こえた。


それにひとつの安堵を落とすと重い音を立てながら扉が開く。


するとそこには私と同じくらいの女の人が立っていた。



『…こんばんは、あの…此処って、』


?「ようこそ!エウリュディケ荘園へ!」



私が言い切る前に麦わら帽子を被った女の人は歓迎の言葉を掛けてきた。


それと同時に此処がエウリュディケ荘園という事を確信できた。



『此処がエウリュディケ荘園なんですね、…やっと人に会えて良かったです…』


?「ここまで辿り着くのはちょっと大変なの…
あっ! 私は庭師のエマ・ウッズなの!」


『ウッズさんですね、私はAです。
手紙には歌姫、と書いてあった気がします!』


庭「ウッズじゃなくてエマでいいの!
あと敬語は堅苦しいの!」



そう言って私の手を取り笑顔を向けてくれる。


眩しいくらいの笑顔…可愛らしい。



『…うん、お言葉に甘えて。よろしくね、エマ!』



そう返すとエマは満足そうに笑った。



.

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作者名:ちぇりかぺり。 | 作成日時:2019年8月27日 3時

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