瀬見さんの秘密 (ページ14)

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痛み五つページ14

- 縁下力 side

とある日を境に崩れたバレー部

今まで信頼しあっていたそれが無くなったように感じる

それを証明するかのように、Aが歳上に歳下に虐められる日々

それを取り巻くのは歳下のマネージャー

今思えば変な所は幾つもあって、仮に無かったとしても俺はAの味方だと言いきれる

あの子は、人を傷付けるような事はしない
出来ない。

去年の仲良くなり始めた頃、彼女は人の血が苦手だと言っていたから、安易に傷付ける事はしない

｢お願いします｣

月島に暴行されたAを保健医に任せて俺は廊下で待つ

｢春田紗奈 … か｣

どこかで聞いたことあるような名前
けど、どこで、なのか
肝心な所が思い出せずむしゃくしゃする

｢ … 力くん？｣

いつの間に保健室から出てきたA
少し驚いてから、来た道を戻る為に足を動かす

｢愚問、してもいいかな｣

｢なんで信じてくれるの？って？｣

｢ … うん、｣

校舎内で足を止め、振り向く

｢春田さんより、Aと長く居るし、血を抜きにしてもAが他の人を傷付けるような事、出来ない子だって知ってるから｣

驚いた様に目を丸くして、直ぐに潤んだ
慌てて、涙を我慢するAの頭に手を乗せて

｢ … 泣きたい時は泣いて、我慢しないで｣

そう言えば小さな嗚咽を零して涙を流した

そんな彼女を優しく抱き締めて頭を撫でた

痛かったろうな、苦しくて辛いだろうに

Aは清水さんも俺達にも害が及ばないようにしてる

守らせてよ、なんて

言えたらいいのに。