八十九振目 ページ4
「ふむ、思ったよりも数が多い、か」
「三日月、此処は貴様らだけで戦力は足りるだろう。俺は主の命を果たさねばならん」
「まぁ、そう急ぐでない」
流石の機動力で走りながら、敵を倒していくへし切。俺も負けていられないな、と鞘に収めたままの自身に触れる。
ふむ、見習いを脅して情報を吐かせた、まではいいんだが、敵の総数や、出現場所も聞いた方が良かったか。……いや、それでは意味が無い、のか。
抜き打ちテスト、と言う項目が唯のテストになった。それだけでも我等にとっては充分であろう。
「お主が任されたのは、主特製の札を取ってくる。同時に、その札の使用。だろう？ならば、まだ大丈夫だ俺が保証しよう」
「確かにそうだが、それとこれとは話が別だ。
主の命を一刻も早く果たさなければ」
「お主は本当に頭が硬いな…いや、うむ、そうか…主は、余裕がある時に、と言っていたな。今は、この本丸にまだ余裕は無いぞ」
「…それは今、こちら側が劣勢であると？」
ピタリと足を止め、俺の顔を見詰めるへし切。
その表情は険しく、今にも切りかかってきそうな剣幕であった。
ふむ、流石は古くから本丸で力を奮った刀の一振。
「今は、な。直に優位に立ち、勝利を収めるのはこちらだ。それ故に、今は戦力が欲しい。主には俺の協力もしろ、と言われただろう？それも立派な主命だ。…違うか？」
「…ちっ、さっさと終わらせて、俺は主命をこなす。指示は聞いてやるから早く言え」
「お主は本当に主が好きだなぁ」
「当たり前だろう」
無駄話をするなら、俺は行くぞ。と面倒臭げに言い放ったへし切に指示を出すと、その程度五分と掛からん。と鼻を鳴らし、好戦的な笑みを浮かべた。
「その顔、主に見せないほうが良いぞ」
「黙れ、主はどんな俺も愛してくださる」
「重い男は嫌われ……」
「俺はもう行く」
…少々、無駄話が過ぎたか。
さて、俺もそろそろ動かねば。
鞘から刀身を抜き、敵の数を確認する。
ざっと見ただけでも百は越える、か？
まったく、政府は何処から遡行軍を生み出しているのだ。
「待たせてすまない」
二人の背に向け、そう発する。
すると、気にしていない、と返事が返ってきた。
「いえ、三日月殿には重要な役割がありますから、お気になさらず」
「謝る位なら、早く敵を切ってくれ」
「それもそうだな、
＿＿＿＿さて、俺も本気を出すか」
主の元には、一匹たりとも通さない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 405人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒桜 - そして私は三日月さん推しなので、この作品で死にそうです、、、、ありがとうございます！！！(死亡) (2020年1月19日 17時) (
レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 黒桜さん» 最近来てくださった方ですか！ありがとうございます！！私も最近ゆるゆると続きを書き始めたところですので、もうしばらくお待ち下さい！応援ありがとうございます！！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 - 最近読み始めてここまで来ました！応援してます頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 伊達 光秀さん» わわっ、ありがとうございます！！全然更新出来てませんが、完結まで頑張ろうと思ってるので…気長に待っててください…！！見習いくんは、これからも元気にやってもらうつもりです……。コメントありがとうございました、嬉しいです！ (2018年10月14日 11時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
伊達 光秀 - 見習い君が助かってよかった！(泣)めっちゃ面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2018年10月14日 8時) (レス) id: 9cccb0eb3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無気力組 | 作成日時：2018年4月30日 13時
