八十八振目 ページ3
「まったく、雅さの欠けらも無い」
隣でそんな小言を零しながら、敵の首を的確に落としていく歌仙さん。自身の偵察力から見ると、厨にいる敵、向かってくる敵は、それで最後である。
「歌仙さん、その敵でここは終わりです。
他の場所の援護に向かいましょう！」
僕の言葉に、最後の敵を破壊し、刀を鞘に収める歌仙さん。そして、被害を受けた何枚かの皿を大切そうに拾い上げ、すまないね、と呟いた。
…その様子を見守りながら、耳を澄ませる。
何のための修行だ。
主を、そしてこの本丸を守るために向かった修行だろう。
こんな時に力を発揮出来ずに、何処で発揮すると言うんだ。
遠くで、刀と刀が交わる音が聞こえる。
その中で、余裕が無さそうな場所を探す。
音で拾える範囲には限界がある。
しかし、僕になら出来る。
「歌仙さん、僕は皆さんの援護に向かいます」
「あぁ、分かったよ。
僕もこの子達を片付けたら、すぐ向かう」
無傷では済まなかった厨。
敵の刀傷が目立つ棚とその衝撃で落ちて割れた皿。
それを素手で拾い上げる歌仙さん。
指先から赤い血が伝って落ちたが、それを気にする様子は無かった。その表情から、"君の方が痛かったろうに"という声が聞こえてくる様だ。
「分かりました」
その言葉に相槌を打ち脳内で本丸の地図を広げる。
確か、僕が今から向かう所には……
見習いの部屋があったような。
今回の黒幕、という名の政府の犬さん。
見付けても殺さないように、と言われたけれど、峰打ちくらいは許して貰えるだろうか。
……いや、それは燭台切さんの役目か。
僕の主さんの懐から、修理費という名のお金が出ていってしまう。
せめて、アフターケアも万全にして欲しいよね。
壊れた本丸の修復、くらいして欲しいよ。
はぁ、と息を吐き、隙だらけの敵を見付ける。
「隙だらけだよ、死んじゃえ！」
背後から敵の胸に向け、刀を突き刺す。
肉を断つ感触が直に伝わるが、気にせず切っ先を抉りこませる。走りながら刺したからか、その衝撃で刀の柄まで入り込んでしまった。
…これだと、彼の台詞が似合いそうだ。
「柄まで通ったぞ、ってね」
「おいおい、旦那。そいつは俺っちの台詞だぜ？
まぁ助かったぜ、ありがとな」
頬に軽い傷を作った薬研くん。
思ったより多い敵に手こずっていたのだろう。
「薬研くん、大事無い？」
「あぁ、問題無い。まだ戦えるぜ？」
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黒桜 - そして私は三日月さん推しなので、この作品で死にそうです、、、、ありがとうございます！！！(死亡) (2020年1月19日 17時) (
レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 黒桜さん» 最近来てくださった方ですか！ありがとうございます！！私も最近ゆるゆると続きを書き始めたところですので、もうしばらくお待ち下さい！応援ありがとうございます！！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 - 最近読み始めてここまで来ました！応援してます頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 伊達 光秀さん» わわっ、ありがとうございます！！全然更新出来てませんが、完結まで頑張ろうと思ってるので…気長に待っててください…！！見習いくんは、これからも元気にやってもらうつもりです……。コメントありがとうございました、嬉しいです！ (2018年10月14日 11時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
伊達 光秀 - 見習い君が助かってよかった！(泣)めっちゃ面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2018年10月14日 8時) (レス) id: 9cccb0eb3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力組 | 作成日時：2018年4月30日 13時
