百四振目 ページ19
｢鶴さん！！｣
その声が聞こえたと思えば、声の主はすぐ側に来ていた。その様子に只事ではない、と鶴丸国永は床に置いていた自身を持って立ち上がる。
敵が消滅し、光坊達がやってくれたんだな。と鶴丸はすぐさま理解し、流石は二振りだ。と桜を散らしていたのだが。
｢貞坊、どうかしたのかい。そんなに急いで｣
｢見習い……じゃなくて、政府の奴が敵に襲われたんだ｣
｢…そうか。それで、主を呼びに？｣
｢分かってるなら、主を｣
そう、手を伸ばした太鼓鐘を鶴丸は制する。不思議そうに鶴丸を見上げた太鼓鐘は、その瞳を見た。
｢貞坊。まだ戦は終わっていない。戦場に主を出す訳にはいかない｣
｢でも、あの人間を放置しておけば死ぬ」
｢あの男が死ぬと、俺達に何の損がある｣
｢主が悲しむ｣
それだけで、奴を守る理由は十分だろう。と太鼓鐘の瞳に書いてあった。それを見て鶴丸は息を吐く。
｢………あぁ、主とあの男は知り合いだったか。そう言う事なら仕方がない、な。その男を連れてくる事は難しいのか｣
｢動かすのはキツそうだぜ？みっちゃんがついてはいるが、そこを敵に攻め込まれでもしたら｣
｢光坊は一人でいるのか｣
｢政府の奴と一緒にいるから実質は二人だけどな」
｢主、聞いてたかい？」
鶴丸がそう問いかける。
勿論返事は無いが、何も無い空間から小夜左文字が顔を覗かせ、入って。と一言。
｢んじゃ、有難く。入るぞ、貞坊｣
｢鶴さんさぁ、こういう事態になって味方も警戒してんのは分かるんだがな？もうちょっとその殺気、抑えてくんねぇ？分かっててもビビっちまう」
｢ははっ、すまんすまん｣
二人揃って中に入ると、小夜左文字は主のそばに控える。その小夜左文字の頭をよしよし、と撫でる審神者を見つめ、太鼓鐘は一言。
｢で、どーするんだ？主よぉ｣
｢鶴さん、と小夜ちゃん。あと、小竜にはもう話したんだけど、、」
どっかりと床に座りこんだ太鼓鐘を見つめ、審神者は口を開いた。
｢今回のこの騒動、雲雀さんが関係してるんだよね。
あの人、言霊の腕だけは達者だったみたいで…
とは言っても、対処法がない。手の出しようがない。って訳では無いので、今からでも呪いの解呪に動こうと思ってるんだけど…
あぁ、その前に見習いさんの手当が先か。
鶴さん、貞ちゃん、小夜ちゃん。警護頼める？」
｢いいのかい、きみ｣
｢自分の本丸で人が死ぬのって嫌じゃん｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 405人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒桜 - そして私は三日月さん推しなので、この作品で死にそうです、、、、ありがとうございます！！！(死亡) (2020年1月19日 17時) (
レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 黒桜さん» 最近来てくださった方ですか！ありがとうございます！！私も最近ゆるゆると続きを書き始めたところですので、もうしばらくお待ち下さい！応援ありがとうございます！！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 - 最近読み始めてここまで来ました！応援してます頑張ってください！ (2020年1月19日 10時) (レス) id: 946cd3609e (このIDを非表示/違反報告)
無気力組(プロフ) - 伊達 光秀さん» わわっ、ありがとうございます！！全然更新出来てませんが、完結まで頑張ろうと思ってるので…気長に待っててください…！！見習いくんは、これからも元気にやってもらうつもりです……。コメントありがとうございました、嬉しいです！ (2018年10月14日 11時) (レス) id: f11b465254 (このIDを非表示/違反報告)
伊達 光秀 - 見習い君が助かってよかった！(泣)めっちゃ面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2018年10月14日 8時) (レス) id: 9cccb0eb3e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無気力組 | 作成日時：2018年4月30日 13時
