"南半球のクリスマススカイ"と"シャム猫の澄んだ瞳"

〃 ページ22

りょうside


しばゆー「うぇぇ……」

ゆめまる「マジか………」

としみつ「警察もって、やべぇやつやん」


動画の内容はこうだった。


撮影終了後、シグマちゃんが自宅にいた時に、ピザ屋に変装した視聴者が来て、
危うく家の中に入られそうになったって話だった。


てつや「これ、俺らもやられたら怖いよな」

虫眼鏡「そりゃあ、シグマちゃんも泣くよ」


動画内では泣いてないけど、その時はパニックと恐怖でどうしていいかわからず、
メンバーが助けに来るまで動けなかったらしい。


そして、メンバーが呼んだ警察と軽い事情聴取の後、初めてメンバーの前で声を上げて泣いたそうだ。


としみつ「これ、動画では大丈夫って言ってるけど……」

ゆめまる「絶対大丈夫じゃないよね」




………あくまで俺の推測だが、シグマちゃんはこういった感情は、
自分の中で押しこ ろすタイプだと思う。

それは、「心配かけたくない」というシグマちゃんなりの優しさ。

と同時に、人一倍傷ついていることになる。


りょう「………ごめん、てつや」

てつや「おう。行ってこい」


高校時代からの仲故か、「何を」と言わなくてもわかってくれた。


りょう「ありがとう」


そして、すぐあの子に電話した。


- - - - - - - - - -

〈週末〉

『いらっしゃい。りょう君』

りょう「お邪魔します。ごめんね、突然来ちゃって」


週末、初めてシグマちゃんの家にお邪魔した。


よくよく考えれば「何で？」って話なのだが、それでも心配で様子は見に来たくなる。


『わかりました？道』

りょう「うん、大丈夫だったよ」


出迎えてくれた彼女は、あの時の話が無かったかのような感じだった。


りょう「はい、これお土産」

『！ありがとうございます』


甘い物が好きと聞いていたから、手土産にケーキを持ってったら、明らかにパァっと笑顔になった。


『散らかってて申し訳ないですけど、良かったら座って待っててください。
今、お茶淹れますので』

りょう「ありがとう」


お言葉に甘えて、リビングのソファーに腰掛けた。

そこで寝てたバロン君が、「誰だテメェは」みたいな感じで見てくる。


りょう「こんにちは、はじめまして」


と言って手を差し出す。


それに対しバロン君は、クンクンと匂いを嗅いだあと、興味がなさそうにキャットタワーに登ってしまった。

終わり ログインすれば
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