"南半球のクリスマススカイ"と"シャム猫の澄んだ瞳"

［特別編］会いたい ページ19

シグマside

〈2020年6月11日0時〉

シグマりょう、27歳
Happy birthday

『おめでとう』の文章を日付けが変わる10分も前から悩んでたくせに、
結局在り来りなやつになっちゃった。


本当は電話で直接言いたいけど、絶対誰かと飲んでると予想してやめておいた。


(こういう時、遠距離って辛いよね……)


今までテレビ電話で一緒飲むとかしてたけど、やっぱり直接会えないのは寂しい。

プレゼントも用意してあるけど、直接渡せないのにモヤッときて、まだ手元に置いてある。


『はぁ……』とため息をつきながら、膝の上でくつろぐバロンに顔を埋める。
(めっちゃ嫌そうな顔されたけど)


蜜璃「にゃう？」

『お前も会いたいよね……』


蜜璃は今年の1月にうちに来てから、1回もりょうに直接会ってない。

大のイケメン好きだから、めっちゃ懐きそうなんだけどな……。


『はぁ……。風呂入って寝よ』


膝の上のバロンを退かして、風呂場に向かった。


〈数十分後〉


『ん？』


机の上に放置してたスマホを見ると、りょうからLINEの通知が来てた。

お礼の返事かな？と思いつつ、タップして見てみる。


りょう起きてる?
りょう声聞きたいから、電話してもいい?


『………へっ！？』


突然のド直球な質問に、思わず変な声が出る。

送ってくれた時間を見ると、私が風呂に入った直後だ。


(うわぁ……。めっちゃごめん)


心の中でめっちゃ謝り倒して、OKスタンプを送る。

それにすぐ既読がつき、次の瞬間には電話がかかったきた。


『もしもし？』

りょう〔もしもし。ごめんね、今大丈夫だった？〕

『大丈夫。こっちこそごめん。風呂入ってたから』

りょう〔あ、そうだったんだ。良かった、寝てたとかじゃなくて〕


電話越しに聞こえる声に、少しドキドキする。
(無駄にいい声でムカつく)


りょう〔さっき、LINEありがとう〕

『ううん。ごめんね？直接言おうと思ってたんだけど、誰かと飲んでるかもしれないって思って……』

りょう〔なーんだ。そんくらいいいのに〕

『ダメだって。絶対長くなるから』

りょう〔寂しくなって？〕

『………うん』


今までなら反発してるとこだけど、今日は自分の心に甘えて本音を言わせてもらう。


りょう〔珍しいね。Aがそう言うなんて〕

『本音を言ったまでだし』

りょう〔そっか……〕

『……ねぇ、りょう』

りょう〔ん？〕

『………会いたい』

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