@詐欺師への我儘。 ページ2
No side
『…チーノ、チーノ！！！』
我々国の本部にいつもの声が響き渡る。
今日呼ばれたのは、珍しい人ではあったが。
ci「はいッ！？はいはいなんですか！」
珍しいお呼ばれだ、と、早々に柱の影からチーノが顔を出す。
その両手には大量の書類。
ちなみに彼は現在、トントンの元へ書類を持っていこうとしたところだった。
『ねぇチーノ、私城下町に降りたいわ』
ci「え、城下町に？これまたどうして…」
彼女のかわいらしい願い出だ、もちろん叶えてやるつもりだった。
しかし、お世辞にも庶民に寄り添っているとはいえず、むしろ傲慢で庶民を見下す彼女が城下町に出たいだなんて、何かあっただろうかと頭を悩ませた。
『どうして？そうね……、』
どうして、と言われれば彼女も特段理由はなかったのだろう、少し首を傾げた。
チーノが書類を持って書記長室に歩いていくその横で、彼女もひょこひょこ着いてくる。
こうして書記長室の前に着いた時、彼女は声を上げた。
『そうよ、思い出しましたわ！オスマン行きつけのあの店で、スイーツビュッフェがありますのよ！』
ci「ええ？じゃあオスマンさんと行ってきたらいいじゃないですか〜」
『な、嫌よ！私はオスマンと行く気分じゃないの！』
本人の知らないところでフラれたオスマン。
チーノは思わず笑ってしまった。
『さぁ、私が行くと言ったのだから行きますのよ、その書類を届けたら準備してらっしゃい。』
それだけ言って去っていく彼女を見て、チーノは頭を抱えた。
さて、外出許可は出るのだろうか。
書記長室の扉を3回ノックして入れば、普段通り目の下のクマが酷く、顔色が最高潮に悪い書記長様の姿があった。
ci「うわ、相変わらず……」
その机に山積みになっている大量の書類は減ることを知らず、チーノも苦笑いを浮かべた。
こんな状況の彼に外出許可を求めるのはいささか酷であるが、彼女に求められては断れないのがチーノの……というか、我々軍幹部の性。
tn「ああ、チーノか……すまんな、置く場所無いやろ」
ci「いやいや、気にしないでください。っていうか、トントンさん寝てないでしょ」
tn「まーな、チーノが仕事してくれて助かるわ」
ci「あはは…」
心のこもっていない、乾いた笑いを浮かべつつも、チーノは本題に入るのだった。
ci「あの、トントンさん」
tn「なんや」
ci「外出許可ください」
tn「……はぁ？」
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←プロローグ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aquaberry | 作成日時：2024年3月20日 20時
