8話 ページ10
絵と曲のモデルの件を引き受けると、ありがとう。と言って御黒さんは体育館を後にした。
帰り際に何か手伝えることあれば手伝うんでなんなりと、とも言っておった。
なんとも礼儀正しい子やな。
目で彼女の背中を見送っていると、侑が突如悶え始めた。
発作レベルとちゃうん？ これ。
「あかん…これあれやろ…御黒ちゃんに見つめられるってことやろ…」
溶けてまう…。
デレデレと床に転がりまわる侑を冷たい目で見下す。
侑、遊んどらんでストレッチせえ。
北さんにそう一喝された瞬間。 ハイ。と青ざめた表情で侑はストレッチを始めた。
「にしても、近くで見ても別嬪さんやったなあ。 侑も惚れるわけや」
アラン君の言葉にでしょう！と勢いよく振り返る侑。
なんでお前が喜ぶんや、ほんま喧しい…。
「…ん？」
ふと、体育館の出入り口付近に何かあるのをとらえる。
ひらひらと薄い、半透明の白い布。
……あれって、いつも御黒さんが手首に付けているリボン？
落としたんかな。
そう思い近づき、拾い上げる。
…やっぱり、御黒さんのやな。
俺が何かしていることに気付いた北さんが俺に声をかける。
「どうしたん？」
「あ、いや、御黒さんが落としたみたいで」
このリボン。 と言って御黒さんのリボンを北さんに見せる。
すると北さんが大切な物やったらあれやろうし、届けてあげや。 と俺に言った。
こういうときは侑に行かせばいいのでは？
そう思ったが今侑はアラン君に御黒さんの可愛さを熱弁している。
……無理やな。
「…行ってきます」
俺はそう言って体育館を出た。
足早に、御黒さんを探すも見当たらない。
もう帰った…？
いや、でも体育館に来たときはバッグ持ってなかったし。
じゃあ教室？いやでも教室出た時彼女はバッグを持っていっていた。
それなら視聴覚室かもしれん。
美術部にはほぼ幽霊部員で作品だけだしていると聞いたことがある。
音楽室は吹奏楽部が使っているから、視聴覚室。
少しオレンジがかってきた空。
俺は、御黒さんを探しに校舎へ入った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼岸花(プロフ) - たまごぼーろ。さん» ファッ!!ありがとうございます!!消さないように大いに進めていきます…!! (2018年6月30日 6時) (
レス) id: 1f046206e1 (このIDを非表示/違反報告)
たまごぼーろ。(プロフ) - 新作おめでとうございます！！今回も面白くなりそうですね！更新頑張ってください！ (2018年6月29日 7時) (レス) id: acb2629ba7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花 | 作成日時：2018年6月28日 23時
