▽ ページ4
.
今日は非番なので、ずっと刀を持って素振りする訳にも行かず気分転換に甘味処へ行くことにした。
その道中、とある女性隊士とすれ違った時
瞬間に今朝の夢が脳裏に浮かび、会ったことのない初対面の人ではあるが思わず腕を掴んでしまった。
『…あの?』
「す、すまない…っ!!」
ハッと我に帰り、慌てて彼女の腕から手を離す。見ず知らずの女性を引き止めるなど……俺もまだまだ鍛錬が足りん。
でも例の夢に関係している人物なのかもしれない。
現に今、その内容が脳に浮かび上がり咄嗟に腕を掴んだ。全く無関係とは思えない。
名前を聞いておく位は良いだろうと思い、まず自分から名乗り、彼女にも名前を聞かせてはくれないだろうかと言うと嫌がることなく教えてくれた。
蓬莱Aと言うらしく、初めて会ったばかりの俺に柔らかく微笑みかけてくれる彼女から目が離せない。
暫くお互い黙り、どんな話題を持ち掛けようかと思案している最中、彼女の名前を呼ぶ声が不意に聞こえた。
「おーい、A」
『あ、宇髄くん…』
「??」
声の主は音柱である宇髄天元。
2人は会う約束をしていたのだろうか。親しげに、自分の前で話している所を見ると何故か心に引っ掛かる。
「何だA、煉獄と話してたのか」
『うん。ついさっき偶然会ったの』
「…へぇ」
そう言い俺の顔を見てくる宇髄。
まるで意外だとでも言うような目線を向けられ、じっと凝視される。そんなに見ても何も出ないぞという意味を込めてお互い視線がぶつかり合う中、俺達2人の間に挟まれる彼女がおろおろとしていた。
……それもそのはず、何せ俺と宇髄が互いに睨み合っていると言っても過言ではない程に、両者から徒ならぬオーラが醸し出されているから。
だが、宇髄の一声でそれも終わりを告げる。
「話し終わったんだろ?じゃ、行こーぜ」
『え、でも煉獄さん何かを話したそうな顔を……』
宇髄に腕を引かれ、名残惜しそうにこちらを振り返る彼女に「また次会う時にゆっくり話そう!!」と満面の笑みで言えば『分かりました…!』と少し声を張って返事をしてくれた。
遠のく彼女が見えなくなるまでその場で立ち尽くして見届け、漸く俺は甘味処へと向かった。
63人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
西野飛花 - はじめまして。西野飛花と申します。スイートポテトさんの作品、大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます!! (2020年8月9日 11時) (レス) id: adc04cecc6 (このIDを非表示/違反報告)
純白 - 新作おめでとうございます。きっかけとなる物語と短編集の方も両方楽しみにしています!これからも応援しております。 (2020年8月9日 9時) (レス) id: c7fba8ce54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スイートポテト | 作成日時:2020年8月9日 8時