先輩はもう、俺の虜です。【赤葦京治】

story．１５ ページ20

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「叶夢。明日はなんの日か知ってる？」




「なんのひ〜？」





「七夕でした〜！」




「たなばたぁ...？」





きょとんと首を傾げる叶夢に、私はにこーっと笑った。

「お願いごとを紙に書いて飾るんだよ〜！」

あらかじめ長方形に切っておいた折り紙を出すと、叶夢はぱぁぁ、と目を輝かせた。


「たなばたー！かくー！」


はやくっはやくっと急かす叶夢に、私は目線に合わせてしゃがんだ。

「晩御飯食べたら、パパと一緒に書こうね！パパ、もうすぐ帰ってくるかな〜」



おかずの用意は既に出来ており、あとはご飯が炊き上がるのを待つだけ。

この時間帯には帰ってくるはずの京治。
叶夢と２人でテレビを見ながら待つのが習慣だ。


「明日は曇りかぁ...天の川見れるかな...」


「曇りだとみれないの？」


「うん、難しくなるかな。晴れたらいいのにねー」


うーん、と天気予報が流れるテレビの前で唸った。
叶夢は何かを思いついたように目を輝かせ、

「かなと、てるてる坊主つくる！ママ、ティッシュ使っていい？」


「無駄使いはダメだよ？」

「うん！」


せっせとティッシュを丸める叶夢。
そんな中、玄関のドアが開いた。

京治が帰ってきた。そう思い、名前を呼ぼうとした。

「京＿＿

「家ひっろいな！！ラブラブかよ、うらやましーっ」



高校時代、聞き慣れたあの人の声が聞こえた。





「けいじ...？」






「ごめん、A。来たいって聞かなくて...」




「元気にしてたか、A！久しぶりだなっ」




前と変わらずに立った髪に、一層低くなった声。


その姿は、木兎光太郎本人だ。

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