episode４ ページ6
"大きくなったな"
何故か少し暖かい声に聞こえてしまった自分を殴りたい
辺りは沈黙に包まれる
並の人間だったら息をすることさえ恐れるだろ
無論、私を含めだが
そんな中、沈黙を破るやつがいた
ﾄﾞﾝ ｶﾞﾁｬﾝ！！
この場にいる全員の視線が集まる
視線の先はアーティの足元だった
アーティの服から巾着袋が出てきてその中にあった宝石たちがクロードの近くに転がっていく
クロードがこちらを見た
冷や汗が止まらない
変なことは出来ない
私はまだしもアーティが殺されてしまう事だけは絶対に避けたい
クロードは宝石を足で割ると同時にこちらに手を伸ばしてきた
つい、一歩後ずさってしまった
するとクロードはアーティを両手で持ち上げた
もう一度言おう。
アーティを両手で持ち上げたんだ
明らかにアーティが戸惑ってるのが分かる
下手に手を出したら殺される
アーティには悪いけどもう少し耐えてもらうしかない
そしてクロードが衝撃の一言を発した
ク「重いな」
....って、はぁ！？
ク「頬がはちきれそうだかこんなに重たいとは」
ひ、ひどい！！
自分に向けられた言葉ではないのにフツフツと怒りが沸き上がってきた
ク「俺の宮で何をしていた？」
途端、怒りが消えた
え？
俺の宮？
・
そこからどうなったかは覚えてない
目の前にあるのは、華やかな模様のカップに注いである紅茶、
おそらくこの柑橘系の香りはアールグレイだろう。
光沢感がある苺やブルーベリーの乗ったいかにも子供が惹かれそうなケーキ。
そしてクロード。
何これ、お茶会？
食欲なんて微塵もありやしないが食べないと料理人達に失礼だ、
とりあえず、紅茶にだけ手をつけることにした
誰も話を切り出さない
そしてこの沈黙を破るのは意外にもクロードだった
ク「話せないとは聞いていないが？」
『ルーナ話せるよ』
ク「そっちは静か過ぎてつまらんな」
「元々話せないのか？」
ア「アーティも話せるよ」
アーティは可愛らしく微笑む
ク「やっと声が聞けたな」
ク「なぜ今まで黙っていた？」
『「・・・」』
勿論、私もアーティも無言
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作者名：星彩 | 作成日時：2022年6月4日 7時
