第四章第七話 ページ7
[キルア目線]
一瞬だった。
瞬時にノブナガの横にAが出てきたのだ。
目で追えないスピードだった。
皆、驚いている。
「おい！ちゃんと薬刺したんだろうな！？」
Aの目の前にいるノブナガはAのことを睨んだ。
「A....！」と俺はやっと、声が出た。
「よかった！生きてて....！！」ゴンも少し安心した様子だ。
けど、Aは違った。
まず、いつもと感じが違った。
「おい、早くゴンの手を放せ。放さなかったらてめぇの脳天ぶち抜くぞ。早く....早く....」
声のトーンも、目も、....まるでAじゃないみたいだ。
それに、殺気が怖い。
もう駄々もれで、誰に向けてなのかもわからないほど。
「大丈夫だよ....A。」
誰も話そうとしなかった、いや、話せなかったんだ。殺気が恐ろしすぎて。けど、ゴンはAに向かって話した。
「見てて。」
Aはゴンを見ると、銃の手のかたちをやめて
俺の隣に来た。
まだ、目は変わらない。
怖い。光がない。
すると腕相撲が再開した。
ノブナガはウボォーギンとかいう男のことを話す。
そして、泣いた。
「心当たりがあったら今、隠さず全部しゃべれよ」
「知らないね。たとえ知っててもお前なんかに教えてやるもんか。」
「あ？」
ゴンの手は、力強くノブナガの手を掴み直した。
「仲間のために泣けるんだね。血も涙もない連中だと思ってた。」
「だったらなんでその気持ちをほんの少し....ほんの少しでいいからお前らが殺した人達に」
「なんで分けてやれなかったんだ！！！」
さっきまで負けっぱなしだったゴンが勝った。
ドカっと音を立てて。
ちらりと横を見ると目は元に戻っていて、いつものAだった。
そして、今の状況で言っちゃ悪いが、
その横顔が綺麗だと思った。
★
ゴンの言葉を聞いた瞬間、すっと何かがなくなった。
私達一族を殺したのは旅団ではないが、売り飛ばしたのは旅団。やはり心の何処かで復讐してやりたいと思っていたのだろう。
ゴン、ありがとう。
ゴンの優しさはいつも私を助けてくれる。
さっきの言葉、クラピカが聞いたらなんて言ったかな。
思わず泣きそうになった。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
