第四章第二十話 ページ20
人質としての価値がない？
団長を人質にとったのに価値がないとはどういうことだ....？？
もしかして嘘....？
クラピカも戯言だと言う。
しかし、助手席に座っていたセンリツさんが口を開けた。
「ウソじゃないわ。」
「彼が言ってるのはすべて本当。」
センリツさん曰く、クロロの心音はいたって正常で、動揺も微塵もないらしい。
「死を毎日側にあるものとして享受している音....」
「もういや！もう聞きたくない！その人の音も！貴方の音も！」
貴方とはクラピカのこと....
クラピカ....。
「五年前、緋の目のクルタ族を虐殺した時、すでにお前は団長だったの？」
答えないクロロにジャッジメントチェーンを出し、「答えろ。」と脅迫する。
「それがウボォーを殺した鎖か。ウボォーは最後に何と言っていた？」
「覚えていない！私の質問に答えろ！」
「ウソだな。だろ？お仲間さん。」
「気持ちはわかる。俺も同じだ。お前に話すことなど何もない。」
「クラピカ、駄目だよ。」
クラピカは歯をギリッとたて、クロロのポケットから携帯を取り出すと、団員のメンバーにかけた。
クラピカが話している間、クロロは私を見て言った。
「なぁ、俺にあれをやってくれないか。」
「....あれとは....」
「フィンクスにやってた念だよ。」
リトルリカバリー。
「....なぜ？」
「もう一度、見てみたいんだ。とても美しかったから。」
クラピカは電話をしながらもクロロを睨み、今にも殴りかかりそうだった。
「黄色いオーラが光って、その緑の瞳が一段と輝く。俺はその姿がもう一度見てみたい。」
私のなかで、答えは決まっていた。
「クラピカ、電話中にごめん、手、出して。」
クラピカは、訳のわからぬまま手を出す。
拳には殴り痕。
私はリトルリカバリーでまずクラピカの拳を綺麗にした。
そして次にクロロの傷を治す。
「....うん。綺麗だ。やっぱり欲しいな。お前が。」
「貴方に言われたからやったわけではありません。元々やる予定だったので。」
そう、クラピカが殴るのをやめたときからしようと決めていた。
私が怖がらず、最初から止めていればクラピカの拳は綺麗なままだった。
これは、私のせいでもある。私が怯んだせい。
「クラピカ、気に障ったならごめん...。」
もうすでに電話を終えていたクラピカは、「気になど障っていない。」と眉を下げて笑った。
センリツさん、今のクラピカの心音はどんな感じですか？
私にはわかりません。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
