第四章第十九話 ページ19
土砂降りの雨、何度かピカッと雷が落ちる。
その中を車ではしっていく私達。
車の中には運転席にレオリオ、その隣にセンリツさん。
後ろには私、クロロ、クラピカの順に並んでいる。
「何を見ている？」
クラピカはクロロの視線に気づく。
「いや、鎖野郎が女性だとは思わなかった。」
「私がそう言ったか？」とウィッグをとるクラピカ。
「発言には気を付けろ。何がお前の最後の言葉になるかわからんぞ？」
「殺せはしないさ。大事な仲間が残っているだろう？」
そう。
作戦は成功したかのように見えて、失敗したのだ。
ゴンとキルアがまだ旅団に捕まっている。
クラピカが手をうったのは良かったものの、今だ捕らわれている二人のことを思うと自分自身、居ても立ってもいられない。
「挑発を受け流せるほど、今私は冷静じゃない....！」
「クラピカ！よせよ....。」
レオリオの言葉に言葉をつまらせる。
「あの娘の占いにもこのことは出なかった。」
「つまりこの状態は予言するほどのこともない。とるに足らない出来事というわけだ。」
クラピカの怒りが、血が、一気に頭に上った。
「貴様っ！！」
「もう一度言ってやろうか？俺にとってこの状態は昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なものだ。」
隣から、ドゴッと殴られる音がする。
クラピカがクロロを殴ったのだ。
クロロはそれにニイッと笑う。
その挑発にまたクラピカはクロロを殴った。
何回も、何回も....
怖かった。いつものクラピカじゃない....。
「クラピカ！！」
運転席に座っているレオリオの呼び掛けにも応じない。
止められるのは＿＿＿
クラピカの拳が、クロロにふりかかる。
私は勇気を振り絞り、腰を浮かせた。
拳が振り下ろされる瞬間、私はその拳を受け止める。
「クラピカ、冷静になれないのはわかる。けどここは冷静になるしかない。」
この状況を止めれるのは後部座席に座っている私だけ。
クラピカの拳を受け止め、クロロから引き剥がす。
レオリオはそうだ！と加勢し、
「状況は五分！何にも進展してねーんだ。」
五分、と言う一言にクロロは可笑しそうに笑った。
「五分！？お前もとんだピントはずれだな。」
そして思いもよらないことを言い出した。
「前提がまず間違っているよお前達は。俺に人質としての価値などない。」
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
