第四章第一話 ページ1
八月三十一日の早朝に事件は起きた。
「....なるほど、生き残りがいたとは....」
私は今、目の前で起こっている状況をのむのに、時間がかかった。
私は今、幻影旅団のアジトに居る。
そして、床に寝かせられている。
つい一時間前、とある男二人と戦って私は負けた。
そして拉致されたのだが、体が動かない。動かせない。
薬だろうか。そうとう強い薬。声すら出ないのだから。
私の頭からは血が出ていて、一角族が血を流すほどの威力だったということは強化系だろう。
それに、いや、私以上に大きい方の男性の方が大怪我だ。
小さい方は顔に切り傷があるくらいだったけど、大きい方は腕や足から血が垂れて、押さえている。
まぁ、私が負わせたんだけど。
「団長、コイツの入団を推薦するぜ！」
こんな大怪我を負わされといて結構好いてくれているみたいだ。
「そうね。戦力になる。」
いつにもまして小さい方も入れる気まんまんだ。
「蜘蛛の手足は十二本でいい。十三本もいらない。」
そうだ。
いらない。
いたくない。
「けど、置いておくのはいいかもな。観賞用。おい、マチ、コイツの手当てをしろ。フィンクスはシャルにやってもらえ。フェイタンは....切り傷だけだな。」
マチと言う女性が私の前に来る。
あ、この人....この前の助けた人。
そっかこの人も旅団だったのか。
マチは開いた傷口を見てみると。
「塞がって....いってる。」
驚きのあまり、ポロッと出てしまった声。
皆「なんだと！？」と言って集まってくる。
「うお！こいつすげー！」とガタイのデカイ人は笑って言った。
一角族はそうとうタフなのだ。これくらい....
「うん。しかも右側に角があるのは珍しい。....高く売れそうだ。」
きっと、私のことが飽きたら首を切って売ってしまうだろう。
マチは傷口にバイ菌が入らないように消毒し、あとは私の自己回復に任せた。
「フィンクス、お前は明日のオークションには出るな。その傷じゃ無理だ。」
「行けるぜ団長！俺は！」
「いや、駄目だ。」の一点張り。
舌打ちをしてあぐらをかいて座るフィンクス。
「その代わりにマチ、お前が行け。いいな？」
「わかったよ。団長。」
ああ、私は死んでしまうのだろうか。
目を瞑ると涙が流れ、薬の副作用だろうか、眠りについてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月16日 17時
