狩られる者。③ (ページ33)

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第五章第三話ページ33

カシャンカシャンとお皿の重なりあう音。
目の前にはもくもくの泡。

「ごめんね二人とも....。」

「いいよ！俺たちもアイスソーダ食べちゃったし！」

優しい！！今、ゴンの背後から光が見えるよ....。

「いや、けどAは巨大パスタの分の金を稼がねーといけねーんだぜ？俺たちと比じゃねーよ。全く、ちゃんと食えよな～！」

キルアはいつもいじられてる分、これをいいことにとことん私のことをいじってくる。
くそー！！ゴンはこんなに優しいというのに！！

と、考えていると「そうね！」と後ろから店主の声がした。

振り返るとエプロンを持っていて、それを私に押し渡す。

「これ着てホール行くアル。あんたはこの二人よりも働くアル！」

「は、はい！」

私はすぐにエプロンを着て、ホールに出た。

★

[キルア目線]

ゴンと二人になった俺たちはフリーポケットのことについて話しながら皿を洗っていた。

しかし、それもつかの間、いきなり皿洗いの量が増え、話す時間さえ与えてくれない。
そしてホールがやけに騒がしいことに気づき、不思議に思った俺たちは皿洗いでびちゃびちゃになった手をタオルで拭き、厨房からホールを覗いてみた。

「わぁ！お客さんいっぱいだね！」

さっきまで少なかった人の量が倍以上になっている。
お客さんがいっぱいになる理由としてあげられるのは、アイツしかいない。

「ねーちゃん！注文いいか？」

「はーい！只今！」

Aだ。

ハキハキとしゃべり、にっこりと笑うと客は鼻の下をのばす。しかも妙にエプロンが似合ってるところも客にはグッとくるのだろうか。

「へ～！Aちゃんっていうのか！いい名前だなぁ！」

「ありがとうございます！ご注文確認させていただきますね！」

気にくわない。

あーやって知らないやつにニコニコしてるところが。

「ゴン、続きすんぞ。また怒られる。」

「あ、うん！」

俺たちはまた流し場に行き、少しふやけた手をまた水のなかに入れた。

★

「お姉さんうちで働かないか？」

「いえ、遠慮しときます！」

しっかりと断りを入れ、店主に別れを告げると二時間前に先に仕事を終えた二人を探しに街を歩く。

まぁ、キルアが言ってた通り二人の食べた物と私の食べた物の比が違うかったから仕事の時間も量も私の方が二人の倍となったのだ。

もうへとへと。

しかし二人と合流しなければと周りに聞き込みをしながら探した。