第三章第十話 ページ20
[キルア目線]
俺はそう言い聞かせ、Aの隣に寝転がる。
そう、俺達は姉と弟！
そう思えばいいんだ！そう....思えば....
隣を見るとAの顔。
いやいやいや！ハンター試験とかホテルのときに一緒に寝ただろ！
大丈夫大丈夫....落ち着け....
しかし、俺は落ち着くことが出来ず、寝ずに朝を迎えた。
ああ、やっちまった。
すると目の前にいるAが「んー」と目を覚ましそうだ。反射的に俺は寝たふりをしてしまう。
「....あれ？....あ、そっか、昨日....。」
「あああ！私、キルアの前で....！！」
恥ずかしいほんとに恥ずかしいと言いながら布団を被る音がした。
しかし、すぐに布団から出る音がして、俺の頭に手がのった。
「ありがとう、キルア。」
それだけ言うとAは椅子に置いていたバッグを取りメモに何かを書くと部屋から出ていった。
そーっと目を開けて、そのメモを見る。
「昨日はありがとう。自分の部屋に居ます。ゴンの試合前に来ます。」と書かれている。
その字が、いや、字までも愛おしく感じた。
そう言えば兄貴が俺の部屋から出ていったとき、兄貴は口元を手で押さえて真っ赤な顔をしていた。
Aにあんなことされて相当動揺していたのか俺に気付かずに通り過ぎる。
初めて見る顔に驚いたけど、それと同時にモヤモヤした。
兄貴は、Aのことが好きなのだろうかと。
兄貴にAを取られるんじゃないだろうかと。
あー、これってまさか....。
「俺、めっちゃAのこと好きじゃん。」
気づいた恋心。
★
「キ、キルア！来たよ！」
ゴンの試合三十分前にキルアの部屋に来た。
ゴンはもう控え室だからだ。
「ああ、待ってた。行こうぜ。」
キルアは昨日のことなんか忘れてるかのように部屋の鍵を閉め、廊下を歩く。
え、私だけ！？こんなに恥ずかしい思いしてるの！！？
まぁ、キルアにも下の子いるから....ああいうのなれてたのかな？
あーーーもう！いい！！
こうやってモヤモヤ考えててもきりないし！
「よし、どうか無事に試合が終わるように祈ろう。」
「おう。」
今はゴンの試合の健闘を祈ることにした。
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年9月1日 14時
