狩られる者。 (ページ35)

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第二章第二話ページ35

「や、やっぱり帽子被ろうかな....」

そう言い始めたのはパドキア共和国についたころだった。

町の人の視線が私に向くのだ。当たり前だが落ち着かない。
もしかしたらキルアの家に着く前に何か事件が起きるかもしれない。

鞄から帽子を出そうとするが、クラピカに止められた。

「帽子を外して外を歩きたいんじゃなかったのか？」

そう言われるとぐうの音も出ない。

すると、果物屋のおばさんが「あんた！一角族かい？」と話し掛けてきた。

「よく見せておくれよ！」

私達は近くに寄ると、おばさんはまじまじと角を見る。
あ、そうだ。

私はおばさんにククールマウンテンの場所を聞いた。

「ククールマウンテン？ゾルディック家の観光かい？山景巡りの定期バスが日に一本ガイドつきで出てるよ。」

「えっと、家まで行きたいのですが。」

「家まで行きたい？あははは！結構いるねーそういう客！とにかくバス乗ってみな！」

三人を見ると「ん？」とした顔。私もだ。
観光って、ゾルディック家の恐ろしさを知らないのか....？

「お嬢ちゃん！これ、あげるよ！」

おばちゃんはリンゴ売り場からリンゴを一つ手に取り、私に渡す。

「あ、お金...！」

「いいって！いいもん見せてもらったし！」

そう言ってちょんちょんっと右側の額を指差す。

「ありがとうございます！」

私達はお辞儀して、観光バスに乗り込んだ。
リンゴは勿論、四つに分けて四人で食べた。

「皆様、本日は号泣観光バスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。」

バスガイドのお姉さんがゾルディック家のことを説明してくれている間にもバスはククールマウンテンまで迫ってきている。

「なんか、拍子抜けした。」

「何が？」

「え、いや、もっと怖がられるか狙われるかすると思ったから....。」

ゴンは「うーん」と少し考えると、

「もしそんなことがあったら俺達が守るね！」

キラキラした笑顔は、まるで太陽みたいで思わず目を細めた。

「ありがとう、ゴン！」

ギュッと抱き締めるとえへへと笑って照れる。

気づけば大きい門が立ちはだかっていて、止められた。

え、まだ山まで遠いのに。

「ここから先の樹海はもちろんククールマウンテン全てゾルディック家の敷地ということです。」

「これが庭ってことかよ。」

ゴクリと唾を呑んだ。