第一章第九話 ページ11
☆
「Aー！」とお父さんの声が聞こえると、私はすぐに駆け寄った。
「どうしたの？？」
名前を呼ぶくらいだ、何かあったのかな？
お父さんは手に持っていた本のとあるページを開け、私に見せた。
見出しは《ジャポンの名物！！》と書かれていて、下にはニギリズシの写真が掲載されていた。
「これを食べてみたいんだ。作ってくれ！」
「わかった、お母さんに頼んでみる！」
私はお母さんに言いに行こうとするが「待て待て」と止められる。
「Aの作ったニギリズシが食べたいんだ。」
ニコッと笑うお父さん。その後私は慣れない手付きでニギリズシを作った。
多分、全然成ってなかっただろうそのニギリズシをお父さんは「美味しい」と食べてくれた。
このあとお母さんに見つかって、三人でジャポンのことを調べたっけな....
☆
「完成しました。ニギリズシです。」
メンチさんの前にニギリズシがのっている皿を置くと、「あら、わかってたのね」と言ってお箸を持ち、醤油につけてパクリと食べる。
「..シャリがなってないわ。握り方もあまい..不合格ね。」
わかっていたことだ。スシを握るのには修行が必要。こんな素人が作ったスシなんて美味しいわけ..。
「けど、美味しいわ..あんたの料理。」
「え？」
「愛情があるっていうか、食べる人の事を考えて作ってる..そんな感じがする。..あ、けどニギリズシとしては成ってないから不合格だからね！！」
メンチさんはニッと笑って私にお皿を返した。
「つ、作り直してきます！」
お皿をきつく握って、私は調理台に戻って行った。
しかし握り終えた頃には長蛇の列。私の番なんて回ってこず、メンチさんのお腹がいっぱいになってしまったのだ。
なんと第二次試験、合格者なし。
「納得いかねぇ」と255番の人が調理台を壊す。気持ちもわからなくもないが、試験官が決めたことだし..。
今年は諦めるかと思った矢先、「それにしても、合格者０はちと厳しすぎやせんか？」と上から声がした。
皆一斉に上を見上げると、ハンター協会のマークがついた飛行船が飛んでいた。審査委員会だろう。
その飛行船から降りてきたのは
「ネテロさん..」
ハンター協会の会長であり、命の恩人..そして、
念を教えてくれた人..
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作者名：焼き肉 | 作成日時：2019年8月17日 17時
