狩られる者。 (ページ3)

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第一章第一話ページ3

とある定食屋の一室に座らされた私は、目の前に出されたステーキ定食をじっと眺め、考えていた。

ここは本当に試験会場なのかと。

するとガタンと部屋が揺れ、下へ下へとまるでエレベーターのように地下へ下りていく。
いや、～のように..ではなくエレベーターになったのだ。

もしかして罠なのではないかと心配しながらも、目の前にあるステーキ定食の良い香りに身を委ね、私は一口だけと、お肉を口の中に入れる。

「うん、美味しい。」

一口だけと誓ったが、美味しいものは美味しい。次々にお肉が無くなっていく。仕舞いにはペロリと完食してしまった。

ティッシュで口元を拭き取ると、エレベーターが地下百階で止まった。

肩掛けのバッグを提げて、帽子を被り直すとエレベーターから下りる。すると一斉にこちらを見る受験者達。

何人かは鼻で笑い、目線を戻した。

こんなか弱そうな女の子には無理ですって言いたいのか？

そんなことを考えながら歩き出そうとすると「あ！Aさん！」と聞き覚えのある声が、私を呼び止めた。

「ビーンズさん！？」

ハンター協会会長の秘書、ビーンズさんだ。
たまに話すくらいの仲だ。

「いやいや、Aさんが試験を受けると聞いたときは驚きましたよ！あ、これ、番号札です。」

渡されたのは100と書かれた丸のバッチだった。

「失くしたりしないように注意してくださいね。」

「はい。」

「それでは、ご武運を」とビーンズさんは次に来た受験者に番号札を渡しに行ってしまった。

私は受け取った番号札を左胸に付けると、辺りをよく見渡し、実感した。

やっと、ハンター試験の会場に着いたのだと。

★

「よっ！」

知らない男性が私に話し掛けてきた。

「君新顔だね、俺はトンパ。」

「よろしくな」と手を出すトンパという男性。一応「Aです。よろしくお願いします。」とこちらも手を出し、握手。

「俺、三十五回ハンター試験受けてるからさ、わからないことあったらなんでも聞いてくれ！」

「あ、ありがとうございます！」

トンパさんはポンポンと肩を軽く叩き、何処かへ行ってしまった。

優しい人だけど、三十五回分落ちてるってことなんだよね..。

と思いながら私も違うところに行こうとすると、「お姉さん、気に入られたんじゃない？」と銀髪の男の子が隣に立っていた。