想定外/村上 ページ4
今わたしの目の前にいる男。
ほんとに大嫌い。
上司だから当たり前だけど、上から目線だし、
いつもバカにしてくる。
声はでかいし、関西弁でまくし立てるし、
ほんと嫌になる！
「おい山田！早よせぇ！」
ほらまた！みんなのことは◯◯ちゃんって呼んでるのになんでわたしだけ名字で呼び捨て！？
別にちゃん付けで呼んでほしいわけじゃないけどさ…
「今やってますけど。」
まあわたしも可愛げはない。だって村上さんムカつくんだもん！
「なあ山田、今日飲みいかへん？」
ん？村上さんは何を言っているんだ？
予想外のお誘い。村上さんの予想外に優しい表情。
「あー…はい。」
思わずOKしてしまうのは仕方ないよね。
「ほら、はよ終わらせて行くで！」
わたしには滅多にお目にかかれない八重歯を見せながら村上さんは笑った。
そして仕事終わり。残業のせいで遅い時間になっていた。村上さんは仕事しながら待っててくれて、一緒に退社した。
「肉でええか？」
そう言って連れてこられたのは高そうな焼肉屋さん。
村上さんは常連なのか、店員さんと親しげに話をしている。
時折見せる笑顔は可愛くて、よく見ると顔もかっこいい。部署の女子たちがかっこいいと騒ぐのもうなづける。
肉を食べながら、仕事の話。
「わたしは村上さんみたいに仕事早くないので。やらなきゃいけないことも、わかってるんですけど…」
そんなに強くないお酒が頭を回る。
「俺は1番Aが仕事できると思っとるけどな。」
ん？あれ？今…名前で呼んだ？
「信頼しとるっていうか、どんな無茶振りしても嫌そうな顔しながらでも完璧に仕上げてくるやん。他の子には出来んことやで？」
そう言われ涙腺が緩む。
1番厳しい上司に言われたのだ、無理もない！
「なんで泣くねん〜あーほら！」
そう言って笑いながら新しいおしぼりを手渡される。
わたしのこと、ちゃんと見ててくれたんだ。
「これからも俺の右腕として頼むわ！」
珍しくニコニコしながらわたしの頭をポンッと撫でる。
あれ？わたし…村上さんにときめいてる……
絶対好きにならねえよクソ八重歯とか思ってたのに……
想定外のときめきに、わたし、胸が張り裂けそうです。
……END......?
(村上さんは沼…まじで沼…)
(這い上がれないわ…)
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作者名：ちい | 作成日時：2017年9月24日 13時
