JAM LADY/丸山 ページ14
「隆平？今日家行っていい？」
幼馴染からの久しぶりの電話は少し元気がないように感じて心配になる。
家を急いで片付けると、彼女はちょうどいいタイミングできた。
「隆平突然ごめんね…」
会うのはそこまで久しぶりではないが、元気がないことくらいわかる。
「どうしたん？」
Aが好きな甘めのココアを入れ、ソファの隣に座る。
「もう疲れちゃった。」
小さく震えるAが愛おしくて仕方なかった。
けど僕には抱きしめる権利はない。Aにはきっと彼氏もいるだろうし、それ以外もいるだろうから。
「仕事も、プライベートも何しても上手くいかないの…こんなこと隆平にしか言えないよ…」
なんで僕はAを抱きしめられんのやろ？
比較的僕は誰にでもボディータッチをするけど、Aには触れられん。
「隆平……」
僕の名前をつぶやきながらぎゅっと腕を握ってくる。
Aは愛に飢えてる。
親が忙しく構ってもらえなかった割に、厳しく育てられ、甘えん坊ざかりの子供がそのまま大人になったみたいな子やった。
そんなAをずっと僕は見てきて、ずっと大好きやった。妹みたいやと思ってたけど、いつの間にかAは僕の大事な人になっとった。
子供みたいに泣きじゃくった後、Aはベッドで寝てもうた。
泣きはらした目ですら可愛い。
「A…好きやで？」
寝ているのをいいことにそう呟いてキスを落とした僕は、ずるいんかな？
ぎゅっと手を握られてるから、僕もAの隣に横になる。
「…い…へい……隆平…？」
重みと僕の名前をささやく声で目がさめる。
なぜかAは僕の上にまたがっていて、すごい色気のある顔をしていた。
こんな顔、他のたくさんの男にみせたんかと思うとなぜかめちゃくちゃ妬けるし興奮する。
「隆平はわたしに興味ないよね？妹だと思ってるよね？わたしも隆平のこと…お兄ちゃんだと思ってたかった……隆平とは何があっても離れたくない…これはずっと小さい時から一緒におったから？」
何を言っているのかよくわからへん。
どういうこと？
僕と離れたくないって…？
けど、僕はいつの間にかAを抱きしめとった。
「僕はどこにも行かんよ。ずーっとAのこと好きやで？」
Aは僕に跨がったまま、乱暴にキスをして、顔を真っ赤にさせたまま、部屋を出て行った。
『僕はどこも行かんから、いつでもおいで。』
そうLINEしておいた。
(この初めての感情に名前をつけられない)
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作者名：ちい | 作成日時：2017年9月24日 13時
