煙/丸山 ページ2
情事後はいつも上半身裸のままでベランダでタバコを吸う。どんなに寒くても、夜風は火照った体を冷ますには丁度いい。
隆平くんはタバコが嫌いだから、起こさないように、そっとベッドを出てベランダへ向かう。
そっと出てきても、隆平くんは気づいてベランダへくる。
「タバコくさいでしょ？来なくていいよ、今日寒いし。」
「でも一緒におりたいやん？」
「そ。」
タバコを吸い始めたのは隆平くんと出会う前に何年も好きだった彼の影響。
危ない雰囲気が好きだった。
彼にひどいフられ方をして、さらに身体を壊したり、大切な友達が亡くなったりして自暴自棄になってた時期に出会ったのが、10こも上の隆平くん。
隆平くんは、荒れに荒れて、死のうと思っていたわたしの目の前に現れた天使みたいな存在で、すぐにわたしは隆平くんにのめり込んだ。
隆平くんの中にある得体の知れない闇も、わたしは好きだった。
「俺はAが何しててもええで。好きやし。」
タバコはやめなくても良い、そう言われているようで寂しくなる。
わたしは隆平くんの色に染まりたいのに。
そんなことを言ってもタバコがやめられない自分が嫌になる。
「隆平くんのためならやめる。」
ムキになって言うわたしは本当に子供なんだろう。
タバコの煙が嫌いなくせにタバコを吸っているわたしを後ろから抱きしめる隆平くんは、大人だ。
「ベランダ出るときは面倒でも服着てや？Aの綺麗な体が他の人に見えてしまうやろ？」
暗闇だから見えないってと、思いつつ、自分のこの身体は綺麗でも何でもない。
それでも、隆平くんがそう言ってくれるなら上着を着てベランダへ出ようと思った。
目の前を通り過ぎていく煙を見ながら、この人と一緒なら、タバコも必要ないかなと思う。
昔なら、煙のように消えてもいいと思っていたけど、隆平くんと出会ってからはそんなことは思わない。わたしは、あなたと共に生きたい。
……END……
(クシュン…！！！！)
(え、大丈夫？風邪引くよ？)
(Aあっためてや〜)
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作者名：ちい | 作成日時：2017年9月24日 13時
