【まふまふ】お隣さん

日課 ページ2

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お隣の桜野さんは、大真面目だ。


家を出る時間は絶対8時半。


鍵のチェックをし、靴を手できちんと履き、埃を払ってエレベーターへ乗る。


僕が(待ち伏せして)8時半に外に出ると、挨拶ができる。


几帳面、きちんとした大人の女性代表作品みたいな。


……外では。




夜7時。


僕は壁に耳をつけて、じっと待つ。



「……終わったー！今日1日終わったー！」


「ねえ猫丸どう思う！？私超えらい！」


「歌おーぜー！」



上のセリフは全部、桜野さんである。


桜野さんは、家モードと外モードがあるのだ。



ここのマンションは壁が薄い、桜野さんの家は端っこ、僕はその隣の家。


僕だけが桜野さんの事を知れる。



「ー♪」



桜野さんがアコースティックギターを使って弾き語りをし始めた。


桜野さんは本当に歌が上手い。


透き通っていて、でも芯のある声。


音程の正確さと音楽性の自由度。


本当に上手い。



夜8時、桜野さんは眠くなって寝る。


僕はこれから作業をする。


これが、僕の日課。

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