二十九話、受入れ先 ページ29
それはもうあっさりと。
塩味なあっさりさで不安は解決した。
「て、Aはいつまで手を繋いでくれるんだ？」
と言われてやっと気づいた。
教室を出てからずっと手を繋いでいたことに。
「わ、わわ！ごめん！！」
気づいた途端真っ赤になりながら素早く手を離す。
「安心しちゃって気づかなかった……」
「……もう一回繋いでおくか？」
なんていうもんだから余計緊張して、
「だだだだだだだ大丈夫です！！！」
それはもう丁寧にお断りさせてもらった。
「そうか」
待って、待って！
高校生男子にそんな しゅん…… みたいな落ち込み方されたら断った私の心が辛いよ！？
「何やってんだ、お前ら」
ちょうどよく(？)相澤先生が来た。
その波に乗らせていただきます……！！！
「なんでもないです！！！すぐ着席します」
と言って私は、轟くんの手を再度掴んで教室に入る。
クラスのみんなが何か言いたそうだったけれど私達の後ろの先生を見た途端、押し黙った。
これは……あとで質問攻めに遭いそうだなぁ……
「さて、みんな席に着いたな。これから先日言っていた職場体験について詳しく説明していくぞ」
それを聞いた私達はクラスを少し騒がしくする。
もちろん、隣の上鳴くんも例外ではなく。
「うおー！俺、どこにしよっかなぁ！！Aはどうする！？」
そう聞かれてふと思い出したのは、相澤先生の言葉。
『なるほどな。じゃあ、有栖。俺のトコに来るか？』
「……！！！」
その言葉に深い意味はないはずなのに思い出しただけで顔が火照ってしまう。
「A？」
「え、あ、私はまだ決まってないよ！！」
意識が戻り、反射的に嘘をついてしまう。
あれは誰だって勘違いくらいするよね？
頭は相澤先生で埋まっていく。
「有栖ー早く来いよ」
ほら、相澤先生の幻聴まで聞こえてきたぁ……
「有栖、来いよ……ったく」
あぁ……末期かな……私
「有栖！」
ベシッと鈍い感覚がすると相澤先生が目の前に立っていた。
「ほえ……？先生？」
「なにボーッとしてんだよ、呼んだらすぐ来い。資料、ここに置いておくからな」
と言って机に数枚のコピー用紙を置いて教卓に戻り、次々とクラスメイトの名前を呼んでいく。
……勘違いも甚だしいな。
そう思いながら受入れ先一覧のプリントをめくって……手が止まる。
最後のプリントの空白部分に手書きで
イレイザーヘッド
と付け足されていた。
ほんとズルいな
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冬音 - 相澤先生がお兄ちゃんだなんてびっくりしました(笑) (2020年2月20日 22時) (
レス) id: 4b22177c0e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 轟が友達になろうって言ったとき、「こいつ、まさかとは思うが個性強くしてもらうために話しかけた・・・・？」とか思ってしまった。ごめん。 (2018年8月3日 1時) (レス) id: 071a98174c (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 哀流さん» それ、書いててめちゃくちゃ思いました！（笑）でも爆豪くんならやりかねないと信じていたので（笑） (2017年11月12日 15時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
哀流 - 爆豪威圧で道案内とかやっぱ才能マンですねー。 (2017年11月12日 15時) (レス) id: f3d50ceb36 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 夏祈さん» 確認しました！ありがとうございます！！良ければお話しましょ！！！ (2017年11月11日 13時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つむ | 作成日時：2017年9月6日 22時
