二十六話、騒動 ページ26
可愛い白いウサギが
美味しいいちご味！
と言っているピンクのパッケージのイチゴミルクのパックを片手に教室に戻ると、やけに騒がしかった。
「え、え！？ どうした？何事！？」
入り口付近にいた百ちゃんに話しかけると、事情を説明してくれた。
「先程、Aさんが教室を出ていったときのことですわ。いきなり轟さんが爆豪さんに掴みかかって、何か話した後、こうしてずっと睨みをきかせているのです。」
「なんでまた、大事になりそうなことを轟くんからふっかけるのかなぁ……」
そう言いながら私はイチゴミルクとお釣りを片手に教室に入る。
ふと、注目の中心にいる轟くんと目が合ったような気がした。
「なぁ、爆豪。もう一度聞くぞ」
「……」
轟くんは爆豪くんの襟を掴んでいる手に更に力を込める。
「Aを無理矢理友人にして何がしたいんだ。お前がやっているのはただこき使うだけだろ。それは友人とは言えねぇ」
「………え、わ私？」
小声で驚いた。まって、私の話だったの？これ……。
「テメェにとやかく言われる筋合いねぇよ」
「あいにく、俺とAは友人なんでな。本物の。」
大切な友人がクラスメイトに脅されていたら助けるだろ。
と轟くんは付け足して。
「どうしましょうか……」
百ちゃんは私に聞く。本当にどうしよう……
悩んでいたら横から誰かが中心に向かっていった。
「そろそろやめないか。その話。職場体験も近いのにクラスの雰囲気が暗くなりそうだ。多分、有栖さんもこの話は望んでない。そうだよね？」
不意に話しかけられ、しどろもどろになりながらもなんとか首を縦に振る。
「尾白……」
轟くんは話を止めた、尾白くんの名前をつぶやいて掴んでいた手の力を抜いた。
教室の空気が和らいだ瞬間だった。
「悪かった」
「チッ」
二人共離れ、徐々に騒がしいクラスに戻っていった。
そんな中、私は席についた尾白くんに駆け寄る。
「尾白くん……」
「え、あ、有栖さん！」
少しびっくりした様子で私の方を向く。
「ええっと……、ありがとう。クラスの空気を和らいでくれて……。」
「こ、こちらこそどういたしまして」
照れたように返事をする。
「本当に助かったよ。教室に戻ってきたらみんな静かに二人を見ているんだもん。びっくりしちゃった……」
あはは、と苦笑いする。
「有栖さん、もし困ったことがあったら言って。僕でよければ助けるからさ。」
「うん」
少しドキッとした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1692人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬音 - 相澤先生がお兄ちゃんだなんてびっくりしました(笑) (2020年2月20日 22時) (
レス) id: 4b22177c0e (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 轟が友達になろうって言ったとき、「こいつ、まさかとは思うが個性強くしてもらうために話しかけた・・・・？」とか思ってしまった。ごめん。 (2018年8月3日 1時) (レス) id: 071a98174c (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 哀流さん» それ、書いててめちゃくちゃ思いました！（笑）でも爆豪くんならやりかねないと信じていたので（笑） (2017年11月12日 15時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
哀流 - 爆豪威圧で道案内とかやっぱ才能マンですねー。 (2017年11月12日 15時) (レス) id: f3d50ceb36 (このIDを非表示/違反報告)
つむ(プロフ) - 夏祈さん» 確認しました！ありがとうございます！！良ければお話しましょ！！！ (2017年11月11日 13時) (レス) id: 06e376deec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ | 作成日時：2017年9月6日 22時
