1話 ページ1
━━━━━━━━━━━━
「良い天気でよかったですね、実弥さん。」
桜の木の下で楽しそうに笑うAは、俺の恋人だ。
タレ目で可愛らしい瞳、笑った時にできるえくぼが愛らしい。
「あァ、そうだな。」
およそ3年の交際を経て、俺は今日彼女に結婚を申し込もうと思っていた。
初めて出会った、この桜の木の下で。
懐にしまった婚約指輪に手を当てる。
柄にもなく緊張していて、指が震えているのが分かった。
「...なァ、A」
「なんですか?」
目を少し見開いて、首を小さく傾げる。
桜の花びらが舞っていた。
「結婚しよう」
彼女は、目にじわぁっと涙を浮かべて、それがゆっくりと頬を伝った。
そして、にっこりと笑った。
「...はい。」
そう言ったAは、桜よりもずっと綺麗だった。
「...この指輪、素敵ですね。...着けてもいいですか?」
「あぁ。...着けてやる。」
彼女の華奢な手を取り、指にスっと指輪をはめる。
サイズがピッタリあっていたので、少しだけほっとした。
その指輪は、彼女のために生まれてきたかのように、よく似合っていた。
「...ありがとうございます。一生、大事にします。」
あぁ、これから先、俺とAは「一生」を共にするのか。
そう実感が少しずつ湧いてきて、涙が出そうになった。
...男が泣くところを見られる訳にはいかないので、誤魔化すように彼女の左手をとった。
「...少し歩くか。」
「はい。」
桜並木のある商店街を2人で歩く。
この時間がずっと続けばいいと、そう思った。
242人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
皐月(プロフ) - 更新めっちゃ楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年4月16日 14時) (レス) id: c89d2eec69 (このIDを非表示/違反報告)
殿茶(プロフ) - 実弥さん、、(泣)とても読みやすく、引かれる物語だったので思わずコメントしちゃいました!更新楽しみに待っています。頑張ってください^^ (2020年3月15日 11時) (レス) id: ab2f0dbeb4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲良 | 作成日時:2020年3月14日 1時