本日、入籍致します。【不死川実弥】

19日目 ページ19

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「出来ました！」

大根を全てすり終わる頃には、私の腕は痺れるくらい疲れていた。
どうだ！と言うように見せつけると、実弥さんは笑った。

・



「ありがとな。...それ、皿に盛り付けといてくれ」

「はい！」


せっせっと手際よく大根おろしを盛り付け、やることも無いのでちょこんと座布団に座る。


なんだか昨日の事を思い出して、不思議な気持ちになった。
急に求婚されて、急に同居して...。
そしてここから見える棚の中には、婚姻届が入っているのだ。
私がそれを書けば、実弥さんと正式な夫婦になる事になる。




ボーッとしていると、目の前にコトンと料理が置かれた。



「...何アホみてぇな顔してんだ。」


その言葉で我に返り、目の前に置かれた料理に目を輝かせる。


お、美味しそう...！！





「ありがとうございます！すっごい美味しそうですね！」


すごく嬉しそうにそう言ったので、彼は思わず笑った。そして私の向かいの座布団に腰を下ろした。



「食べるか」

「はい！」


2人で手のひらを合わせて、「いただきます」と言う。

箸を持って、綺麗な焼き色が着いている魚お口に運ぶ。想像以上に美味しかったので、私は頬を緩めた。



・





食を進めていると、ふいに実弥さんは食事を止めて箸を置いた。

そして真っ直ぐと私の顔を見る。


「...そういえばよ」

「？はい」


真剣な顔で私を見るので、彼と同じく箸を置いた。
なんだろう？と思いながらモグモグと魚を噛む。









・









「...昨日の夜、言ったことは本気か？」

「...え」



・


.....。









やっぱりアレ聞こえてた！！！！！







羞恥心が湧き上がり顔がプシューと赤くなる。
もう完全に食事所ではなくなり、頭の中は真っ白になった。



・


「...え、えと...」




なんて答えるのが正解なのか分からない。
...いや、本気であることは嘘ではない。
けど、今すぐに結婚します！って言える訳では無いのだ。

それに本気だと言うのは少し恥ずかしかった。
...ほらやっぱり、女の子だし。うん。


・




「嘘、ではないです...」


彼の目を見ることが出来ず、俯きながらそう言った。

20日目→←18日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す